「ここだよね、アカテガニが働いてるお店って」
「うん」
「あたしお腹空いてきちゃったよ。何食べるー?」
「うーん、いろいろあって迷っちゃうかも」
「あのー前空いてんスけど」
ファミレスルサックの入口付近で喋っていた二人に後ろから男性の声が掛かると2人は慌てて前へ移動する。
「ご、ごめんなさい」
「先に並んでるならとっとと入れよ、どんくせえな…」
その男性は謝ってきた女性のことなど気にせずに舌打ちをし嫌な態度を見せる。
彼女達二人で来ていたなら二人はただ嫌な気分になり、それを彼女達の友人である店員に話を聞いてもらうなりするだろう。しかし彼女達は三人で来ていた、もう1人は狭い通路の壁に凭れており、ごめんなさいという連れの声の時点でそちらを見ていた。
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