一夜の夢の城四季の笑顔を見る事が好きだ。カメラロールを見返す、四季が此方を向き楽しそうに紫苑を見ながら笑っている。手を振り、ピースを決め、そして途中から視線の合わない写真が増えて行く。友人と話す場面、寝顔や食餌をする所はまるで何かの動画から切り取った様に、端に日付が載っており異常な程のそれは、紫苑の盗撮だと言う事が伺える。
ピッピッ、とカメラを操作する音が響き紫苑はパソコンにカメラを繋ぐと一つの写真を印刷し壁に貼り付けた。壁にはクレープを食べる四季の此方を向いてない物で、紫苑はそれに頬を寄せると恍惚に笑い呟く。
「四季………」
紫苑の呟きは空間に溶け、壁一面に貼られた写真には四季のみを切り取った物が埋めつくし、紫苑の彼への重い執着が伺えた。紫苑は壁のある部分には手を付けると、操作パネルが浮かび上がり何かを読み込み瞬間壁に切れ目が入り扉が開いた。
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