Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    tempesten10

    @tempesten10

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💛 💜 💕 🐴
    POIPOI 35

    tempesten10

    ☆quiet follow

    ちっちゃいドロップフラッフィ、おかあさまにブラッシングされる。

    おっきいドロップフラッフィ、恋人にブラッシングされる。

    ブラッシング「チェズレイ、髪を梳かしましょうね」
    「うん、おかあさま、フラッフィもおねがいできますか?」
    「じっと大人しく座れるかな?」
    「うん!」
     椅子に行儀よくお座りするチェズレイの後ろから二つブラシを持ってサティアは己に似たチェズレイの髪を梳かす。一つは細工のされた髪の毛用の櫛、そして、もう一つは紫のリボンがついた木製のブラシ。器用に使い分けながらサティアはチェズレイの髪の毛を綺麗に仕上げた。
    「いつかチェズレイもおおきくなったら好きな人に髪の毛も、大きいおみみも撫でてくれたらいいわね」
     鏡を持つチェズレイのブラウスとボウタイを直す。その間ずっとチェズレイは笑顔でいた。
    「はい! でも、おかあさまのおててがいいの」
    「まあっ! チェズレイったら」
     ちょっと遠い話をしちゃったわねと言いながらサティアは我が子を後ろからしっかりと抱きしめた。
    「いいこいいこー」
    「えへへ……おかあさま、だいすき」
     ぽよんぽよんとチェズレイのフラッフィがくるりと動くと親子は向き合う。
    まだ小さいチェズレイと視線が合うように、サティアは中腰になってチェズレイと同じ眼の高さで向き合った。
    「私も大好きよ、チェズレイ」
     ぎゅっとチェズレイが母にしがみ付く。その小さな手にこたえるようにサティアは小さいチェズレイの額にキスを落としたのだった。
     

     大きい手がフラッフィを撫でていた。チェズレイの頭の大きさにしてはやや大きいフラッフィが撫でられている。
    「モクマさん、どうされましたか?」
     突っ伏した体を起こし、チェズレイは眼前の男――モクマに話し掛けた。
     どうやら夢を見たようだとチェズレイは辺りの殺風景な壁紙を見ながら思った。もう二十年以上前の出来事なのに鮮やかに思い出されるのは今モクマがチェズレイの髪やフラッフィを撫でているからだろうか。
    「起こそうとしたんだけどチェズレイの髪の毛もフラッフィも凄く肌触りがいいなって」
    「そのように触るのは私の母くらいでした。フラッフィが落ちてからは主に下衆が私の髪を褒め称えましたね。嬉しくも思わなかった、この髪は下衆を呼び出す道具だと」
    「俺は?」
     モクマが問い掛ける。その問いにチェズレイは首を横に振った。
    「あなたは母と違い大きく無骨な手だ。なのに母と同じくらい気持ちがいい……奴等とは違います」
    「ありがとね。あ、チェズレイ、お詫びといっちゃなんだけどフラッフィ梳かしていいかな」
     チェズレイの言葉にモクマは胸を撫で下ろすと何かを思い出したかのように申し出た。モクマなら悪いようにしないし悪意をもってフラッフィを触れることはないだろう、一つ息を吐くとチェズレイはモクマに許可を出した。
    「藪から棒に……どうぞ」
     チェズレイの言葉にモクマは己の鞄から袋に入った櫛とブラシを取り出した。一つ目は普通のブラシ、二つ目は青いリボンがついている木製のブラシだ。それを取り替えながらモクマはチェズレイの髪の毛と柔らかいフラッフィの毛並みを整えていく。
     気持ちのいい、懐かしいブラシの当たりにチェズレイはあァと言葉を漏らす。母が優しくブラッシングしてくれたあの柔らかさと同じ当たりがする。不思議に思ったチェズレイはモクマに問い掛けてみた。
    「このブラシは?」
    「これ? この前俺がひとりで買い物に行ったでしょ。そのときにうさぎ専門店でお子様のような通りのいいうさぎ耳に最高級のブラシを……って売ってたんだよ。ヴィンウェイ生まれのブラシだし、お前さんの髪の毛に合うかなって……どしたの?」
     前髪をブラッシングしようとしたモクマははと気が付く。チェズレイの瞳からは滅多に零れ落ちない雫がぽたぽたと菫色の瞳から零れ落ちていた。
    「昔を思い出していました。母もブラシで私のフラッフィを梳かしてくれたんです。二人でお揃いのお目々のリボンのついたブラシで。フラッフィが落ちたあの日からもういらないと思っていたから……」
     とめどなく溢れる涙を抑えきれないチェズレイにモクマはそっとチェズレイを抱きしめた。母と違う広い肩幅に包まれたチェズレイにモクマはそっと声を掛けた。
    「思い出をありがとうね。チェズレイ、髪の毛も梳かしていい?」
    「ええ。髪を梳かしてくれたひとはモクマさんで二人目ですよ。わたしが愛しているひと、ふたりだけです」
    「それは光栄だ」
     最初に取り出したブラシでモクマはチェズレイの髪を梳かしながらチェズレイの言葉を返す。職歴の多いモクマにしては覚束ない手つきにチェズレイは涙を止め、クスリと笑った。だが、いやな感じはしない。ただいつまでもモクマに髪も、フラッフィも手入れして欲しい。僅かに芽生えた欲をチェズレイは口にした。
    「ずっと、私の髪を梳かしてくださりますか?」
     チェズレイの真摯な、切実な瞳が訴えるまでもなくモクマは思っていた言葉をそのままチェズレイに言葉を返した。
    「……勿論。チェズレイが嫌と言うまで」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    AmatsuBmb

    DONE守ってあげたいDomなモと、構って欲しいsubなチェのどむさぶパロです。
    前半モ視点、後半チェ視点。

    画像(新書ページメーカー版)はツイッターで↓
    https://twitter.com/AmatsuBmb/status/1424922544155414530?s=20
    https://twitter.com/AmatsuBmb/status/1432684512656310281?s=20
    Dom/subユニバースなモクチェズ***

    「私たちもそろそろ、パートナーになることを考えませんか」

     二人が生活するセーフハウスの一室でなされたチェズレイの提案に、モクマは思考も動作も停止した。
     夕食を終え、二人は並んでソファに座っている。時折晩酌に付き合ってくれる相棒に、今日は酒は無し、と言われていたので、何か大事が話があるのだろうと思ってはいたのだが。
     パートナー? 俺たちは、すでに唯一無二の相棒だと思っていたのだが、違ったのだろうか。落胆しかけてすぐに、いや、違う意味なのだとわかった。

    「……おじさん、これでもDomなんだけど」
    「それが何か問題でも?」
    「へっ? ってことは――お前さん、subだったの!?」
    「ええ」

     男や女という身体的あるいは精神的な性別の他に、人間は第二の性別をもつ。それが、DomとSubだ。一般的に、Domは支配したい性、subは支配されたい性、と理解されている。欲求が満たされない状態が長く続くと、Domもsubも抑うつ症状などの体調不良を起こすため、特定のパートナーがいない場合は、一時的なパートナーとの行為に及ぶか、抑制剤を服用する場合が多い。
    5253

    ムー(金魚の人)

    DONEモクチェズワンライ0213「甘味」で参加です。
    モクチェズ初めてのバレンタイン、と言っていいのかなコレ。

    ※大祭KAGURA後、ミカグラ島を発つ前
    モクマの退院は「大祭KAGURAから数週間後」なので大祭KAGURAを1月末開催とし、バレンタインの時はまだ入院中と仮定してます
    『恋の味 確かめてみて』
    「お?」
    テレビから聴こえてきた馴染みある声にモクマは食いついた。
    DISCARDと決着が付いた後、モクマはほか3名の仲間と共に病院送りとなっていた。戦いで傷ついた身体を癒やし、4人部屋で他愛のない話をしては大笑いして看護師さんに注意を受けていたのもはじめの1週間だけ。その後、アーロン、ルークに続いて先日チェズレイも退院してしまった。今は大部屋を独占状態だ。
    モクマの退院は順調にいってあと1週間後らしい。これが若さか……と自身の重傷具合を棚にあげて心で泣いた。
    一人きりになったモクマの退屈を癒やしてくれたのは、個室に備え付けられている19インチの液晶テレビだった。
    そのモニターには赤いバラをあしらったドレスを着た歌姫スイが自身の楽曲をBGMにミカグラチョコレートの宣伝をしているところが映っていた。四角いチョコレート菓子を頬張る笑顔が眩い。
    2674