新しい人へ/6翌日午前十時。
外線電話を取った脳外科担当看護師Xは、急ぎ五階の控室へ繋いだ。
金銭の要求含む交渉条件、身柄引き渡し場所の指定、報道統制。
そして殺害予告。
院内に匿われていないか、ナース控室のロッカー、分娩室、ベッドのスプリングの中、空調ダクトや給食室の冷蔵庫の中まで、西東京の警察署員総出で漁られる。
二十四時間以上、外科手術一部制限、全病棟外来、面会中止。出入口以上に、地下電源設備周辺は特に警護が手厚い。
二百三十名以上の医療従事者、資材搬入、清掃員、共用浴室を使う入院患者に至るまで、厳しい検問を設けている。
ネットFAXを利用した、覚書が一通渡された。紐づけされた携帯番号はプリペイド、偽の個人情報。
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