Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    ROMUKUSUROMUKUSU

    ROMX #pixiv https://www.pixiv.net/users/39082/novels

    twitter

    https://twitter.com/ROMUKUSU

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 14

    ROMUKUSUROMUKUSU

    ☆quiet follow

    続きです。

    その1
    https://poipiku.com/3258321/5848428.html

    #PTK
    #ちゃんとして
    getItRight.

    記別 その2 水風呂から出るところの僕を置いて、中野君は先に脱衣所へ。
     三〇分近く寝湯から一歩も動かずに占拠し、若干のひんしゅくを買っていた。
     瞑想し、微動だにせず、さっき通りすがりで、いよいよ死んじゃったかと思ったよね。

     僕も掛け湯して、追いつく。
     陸上でも、言葉少なな彼。
     会釈だけして、白い手ぬぐいで、ゆっくり体を拭いている。

     整体用の浴衣を借りていた。さっと腕を通して、こちらに少し体を向けた。
     裸の腹に手繰り寄せ、右前にし、帯を締める。ロッカーの鍵を腕につけ直していた。
    一連の動作。

     スタスタと、化粧台へ。

     僕は、まだ何もつけず。呆然と。
     着替えの靴下がカゴから落ちかけ、慌てて掬い取る。目線が下腹に。

    !!!?
     何だ何だ! 今日の御主人様、救世主様を前にして、その無礼講は!

     僕の下半身の暴挙。
     慌ててパンツの中に押込み、シャツを頭に通す。落ち着け、落ち着け。
     まあ、大丈夫だと思うが、あんまりアレだと、みんなの迷惑になるぞ。
     何かと、自意識過剰な年頃なもので……。

    ※※※
     自分の、さっきの反応の理由。
     休憩所の自販機前で判明した。

     着替え袋の中身が見えた。

     彼は、一切下着を付けていないのだ。

     女性や子供も行き交う、賑やかな場所で、中々恐ろしいことを。

     しかしだ、下手に注意できない、だって今日は、この冒険家が僕の…。

    ※※※

     おにぎりと、かしわそばを奢ってもらった。
     座椅子に大人しく座り、ヨシの合図を貰う。
     しかし、空きっ腹にありがたく染みるが、よくよく噛んでも、味がイマイチ、しない。

     今マッサージルームに案内された彼のおかげで、心は宙に浮いたまま。

     待ち時間は、三〇分ほど。
     初めて来た施設を探検する。
     ゲームコーナーでモグラたたきに興じる幼稚園児を応援したり、ロビーで釣り新聞を読むおじさんの背中を覗いてみたり。
     うろつくうち、訳もわからず引き開けた、非常階段の踊り場に入り込んだ。

     派手な音を立てて閉まる、防火扉。屋上階まで、反響。

     ひんやりとして、静かだ。窓が無く、体内時計が狂いそうな、蛍光灯の元。非常口の案内灯。

     結局、学校の、深夜の研究棟に引き戻されたよう。

     早く終わらないかな。迎えに行きたい。


     でも、施術が終われば、あの艶めかしい、眩しい姿は、まぼろし。

     今の僕は、一人ではどこへもいけない、何もできない、お猿さん。
     石から生まれ、やんちゃをしでかし、度々罰を受ける。
     勝手気ままに叫ぶばかり。
     ちょっと竿を振り回しては、得意げになって。結局優しい人々に迷惑をかけて。
     世に愛されるすべを、禄に知らない。
     せめて、誰か。人を、慎み深く、存分に愛する作法だけでも、教えて。成就せずとも良い。

    中野くん。

    中野くん。

     あの白いお腹。
     打ち掛けた浴衣の弛む曲線。ももの付け根、その、、、

     観音様。今いっときだけ、僕の手で、愛してもいいですか。心のなかで。

    (続く)

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works