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    moce_gnsn

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    moce_gnsn

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    恋仲の魈空のとある日の話
    だいぶ前に書いてたものかつめちゃくちゃ書きかけですが、供養させてください
    R15くらいです

    「それで、モンドの酒場でバーテンダーをすることになったんだ。あっバーテンダーっていうのは…」

    一日の旅の終わりに、空は時たま望舒旅館の最上階──魈の部屋へ帰ってくる。二人で並んだベッドの中で、空が話す旅の物語を魈はじっと聞いていた。魈はその時間がいっとうお気に入りだった。話の内容はよく分からないけれど、空の声が耳に届くことと、言葉が紡がれていく彼の唇を見ることが好きなのだ。

    数ヶ月前、二人は恋仲になり、こうしてたまに二人きりで過ごす時間を設けるようになった。並んで眠るだけの日もあれば、肌を重ねる時もあったが、そのどれもがかけがえのないひとときであることに違いは無い。
    人の気持ちに疎い魈にとって、空のくれる「好き」と同じものを自分が返せているのか、未だ分からない。それでも、彼が傍にいてくれるととてもあたたかい気持ちになる。長年殺戮に明け暮れた魈にとって、このような感覚は久しぶりだった。この時間を大切にしたい、もっと彼を見ていたい。強欲ながら、手を伸ばしてしまう自分に気が付いたのはいつのことだったか。
    想像の中で彼の笑顔が何度もフラッシュバックして、気が散って、腹が立った。璃月の仙人と異邦の旅人では立場が違いすぎる。それだのに、自分は璃月を守り、空は旅をしなければいけないのに、自分の隣に居てほしいなどと…。欲深い考えに至ったことに対する自己嫌悪に苛まれた。
    このままではいけない。だからある時、解決策を求めて、自分の考えをそのまま空に伝えた。
    ──”魈は、俺のことが好きなの?”
    …あの時の、揺れる大きな瞳を、今でも鮮明に思い出せる。魈が気持ちを上手く言葉にできず、ゆっくりと言葉を選びながら伝えた自分の内に抱えたもの。それをぴたりと言い当てるような言葉を、空から言われたのだった。話すうちに感極まってぽろぽろと涙を零し始めた空に、魈は酷く狼狽えた。怖がらせたか、嫌になったかと問えば、首を振る。魈と同じ気持ちだったことを知れて嬉しいんだと、何度も涙を拭いながら笑う姿に、堪らず彼を抱きしめた。
    ──”魈、大好きだよ…。俺と、恋人になってください。”
    その言葉に、魈はただ頷いた。

    …などとこのような仲になった経緯を思い返していると、今日の旅の物語を話し終わって、空は満足したようだった。もぞもぞと下へ潜って魈の胸に額を擦り寄せる。空が動いたことで彼の匂いが鼻腔をくすぐり、身体の内側が甘く疼いた。魈が腕を差し出してやると、そこへ素直に頭を預け、空はふにゃりと笑った。
    「何がおかしい」
    「ううん、魈の体温落ち着く」
    「…そうか」
    短いやり取りの後、背に空の腕が回される。随分と甘えるなと思いながら、彼の金色の髪を梳いてやる。それが心地よかったのか、空は程なくして眠りについてしまった。
    夜は魔物の行動が活発になる。だから夜は見回りに行くこともしばしばあるが、今夜は邪悪な気配を感じない。空が璃月にいると、そういう日が多かった。そもそも、こんな風に抱きつかれていては身動きが取れるはずもない。空が眠ってからもしばらく頭を撫でていた魈だったが、これ以上は彼の眠りの妨げになるかもしれないと思い直し、彼を真似るように目を瞑った。

    ──ふと目が開く。窓の外が白んでいるのを見て、自分は眠っていたのか、と魈ははたと気付いた。悪夢も見ずにこのように長い時間眠れていたことに自分でも驚く。腕の中では空が相変わらずすぅすぅと寝息を立てていた。
    「…本当に、不思議な奴だ…お前は」
    魈は自嘲的にため息をつき、昨夜と同じようにその頭を撫でる。空と触れているところから業障の痛みが和らいでいくような心地がした。それと同時に胸が甘く締め付けられるような感覚に襲われ、反射的にぴくりと手を止める。業障による痛みではない。慣れない感覚に動揺して衝動的に空の身体を掻き抱いたが、じんわりと熱を持った痛みは消えるどころか更に増すようだった。
    強く抱きしめた腕の中で空が動く気配がする。
    「んん…、しょう…?」
    「すまない、起こしたか」
    きつくしてしまった腕の拘束を解くと、空は欠伸を噛み締めて魈を見上げた。目尻がとろんと下がっていてまだ眠そうだ。
    「夜が明けたばかりだ、もう一眠りしても構わないぞ」
    「魈、ずっと腕枕しててくれたの?」
    すまなそうに身を引く空を引き止め、魈は首を振る。
    「重さはさして気にならなかった。お前の隣で共に眠っていたからな」
    「え!?」
    「?」
    「ううん、魈が眠れたみたいで良かったよ」
    「…そうか」
    空に微笑みかけられ、魈はまたじくりと疼く痛みを持て余す。手のひらで胸を押さえて宥めようとしたが、空の身体に阻まれて叶わなかった。かぶりを振って、何事も無いように振る舞う。
    「…睡眠はもういいのか」
    「うん、目が冴えちゃった」
    そう穏やかに笑う空の唇が酷く甘そうに思えた。これしかない──なぜだかそう思って、顎を掬ってそっと唇を重ねた。数秒間ゆっくりと柔さを味わって離すと、見開かれた双眼と目が合った。構わずもう一度キスをする。…足りない、もう一度。
    痛みは飢えに似ている気がした。一度味わってしまうと後には戻れなくて、渇きを満たすように何度も唇を食んだ。じたじたと抵抗を見せる空の手をシーツに縫い止め、彼の上に覆い被さるように跨る。
    「…ッ、魈、待って」
    「む…」
    体勢を入れ替えるときに唇が離れたタイミングを突いて、空が顔を逸らす。
    「す、するの…?」
    「何をだ」
    問うと、空は真っ赤になりながら「…えっち、するの?」と消え入るような声で問うてきた。

    目が覚めた時から少し様子がおかしい気がしていたけど、やはり今の魈にはいつものような冷静さが無いように思えた。こんな朝早くから熱のこもった視線を向けられることになるなんて。えっちするのかと尋ねれば、先程まで惑うように揺らいでいた瞳が何故か確信に変わったようだった。旅館に備え付けの寝巻きを着ている腰から帯を抜き取られ、襟の境から手を差し入れられる。その手の熱さに空はびくりと身体が跳ねた。
    「昨夜から得体の知れない衝動を持て余していたが…、今しがた、お前に触れたかったのだと分かった」
    「ッ…」
    このひとは本当に、真顔でとんでもないことを言う。無遠慮に差し込まれた手がいやらしく背をまさぐり、心臓がばくばくと音を立てる。この先の行為を期待する身体が段々と火照り始めた。
    これまで、魈から仕掛けてくることなんて無かったのに、欲を前面に出して触れてくれる日が来るだなんて。嬉しすぎて泣きそうだ。今日の任務とか、やらないといけない予定とか、色々と頭を過ぎったけど、今は魈を受け止めたい気持ちが勝った。朝だというのに身体を重ねる背徳感と、昇り始めた朝日に照らされる魈の綺麗な顔、…それに、初めての彼からのお誘い。空の胸は既にキャパシティを超えかけていた。
    魈の唇が、今度は意図を持って空のそれに触れる。
    「ん…、ふ、ぅ、んく……」
    キスを繰り返しながら、互いの身体を何度も抱きしめ直し、足と足とを絡ませた。布が擦れる音と口から漏れる吐息がやけに耳に響き、情欲を煽っていく。口を薄く開くと、魈の舌が入り込み、拒まずに差し出した舌を絡め取られた。ぴちゃりと鳴った水音に腰が痺れる。舌の表面を擦られるだけで気持ちよすぎて小さく声が漏れた。快楽で力の抜ける口内を隅々まで魈に愛撫される。
    「ふ、う゛、ぁ、ああッ……」
    歯列をゆっくりとなぞり、上顎を撫でられて、堪らず喘ぐ。口の中をぐちゃぐちゃに侵されて、でももっと欲しくて、口内を撫で回す魈の舌を自らの舌で追いかけると、望み通り絡められた。息が続く限り粘膜を擦り合わせて、唾液を交換し合って、溢れた唾液が空の口を濡らす。最後に舌先に甘く歯を立てられると、身体が勝手にガクンと跳ねた。
    「、っ、はあ、はぁ……」
    「…大丈夫か、空」
    「!ッ…ちょっ……」
    口では労りながら、魈の右手が乳首を掠め、休憩なく畳み掛ける攻め方に焦る。咄嗟に止めようとした手はすぐに捕まえられて、そのままシーツの上に逆戻りだ。
    「あっ、やだ、そこっ……んっ」
    魈の舌が乳輪の輪郭をれろっ…となぞる。頂点を避けてぴちゃぴちゃと弄ばれると、焦れて期待した乳首はだんだんと芯を持ち始めた。その間も右手は反対の乳首を爪でカリカリと虐めている。絶えず襲ってくる快感のせいで、抵抗しようとしたはずの手には全く力が入らなくなった。
    魈が乳首から口を離すと、唾液がつう…と糸を引き垂れる。
    「濡れた方が気持ち良いか?」
    「うあッ…ひっ…………」
    今度は爪で弄んでいた右の乳首をぱくりと口に含み、舌で転がし始めた。唾液でぬるついた左は指の腹でぬりゅぬりゅと擦られる。
    「あ、あ……ふ、…」
    敏感なそこに濡れた刺激を与えられると身が持たない。身体が熱くなっていくのを感じて、思わず膝を擦り合わせた。
    舐めては気まぐれに歯を立てられ、また舐めては濡らされる。指の腹が上下にこすこすと頂点を掠め、時に押しつぶされ、時に爪で弾かれる。
    「ッしょう゛っ…待って、ぁ、ほんとに、待っ…」
    下がじゅわっと濡れる感覚がして、今度こそ本気で待ったをかける。動きを止めて不満気にじとりと射抜いてくる視線に、空は思わず遮るように腕で顔を覆った。
    「こ、れ以上されたら、…い、イっちゃう、から…」
    「ほう、試してみるか?」
    「勘弁して…」
    力の入らない四肢でのそのそと魈の間から這い出してベッドから降りると、空はそのまま床にペタリと座った。意図を察した魈が眉根をひそめる。
    「……空、」
    「いいの、俺がやりたいんだ。そこ座って?」
    しばしの間、視線だけの無言の攻防戦が繰り広げられる。意思の固い空のまっすぐな瞳に、ぐぬぬと折れたのは魈の方だった。空は口角が上がりそうになるのをため息でやり過ごす。膝立ちで身を乗り出すと、ベッドの縁に腰掛けた魈の体に手を回し、ゆっくりと衣服を取り払っていった。



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    MOURNING恋仲の魈空のとある日の話
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    「それで、モンドの酒場でバーテンダーをすることになったんだ。あっバーテンダーっていうのは…」

    一日の旅の終わりに、空は時たま望舒旅館の最上階──魈の部屋へ帰ってくる。二人で並んだベッドの中で、空が話す旅の物語を魈はじっと聞いていた。魈はその時間がいっとうお気に入りだった。話の内容はよく分からないけれど、空の声が耳に届くことと、言葉が紡がれていく彼の唇を見ることが好きなのだ。

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    人の気持ちに疎い魈にとって、空のくれる「好き」と同じものを自分が返せているのか、未だ分からない。それでも、彼が傍にいてくれるととてもあたたかい気持ちになる。長年殺戮に明け暮れた魈にとって、このような感覚は久しぶりだった。この時間を大切にしたい、もっと彼を見ていたい。強欲ながら、手を伸ばしてしまう自分に気が付いたのはいつのことだったか。
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