山本さんと堀北さんネタのビトユウ「ビート君の事が好きです! 付き合ってください!」
私はビート君に想いをぶつけた。
「…はぁ、またですか。言ったでしょう、ぼくはあなたと付き合う気は一切ないと」
「うん」
「分かっているのなら、いい加減辞めて欲しいのですが! これで何回目だよ…」
「107回目だよ。お手紙は52回目で、メッセージは…」
「覚えているのかよ! 気持ち悪い…」
そう言ってビート君は素直に不快感を表した顔を私に向けた。
「この際先っちょだけでも良いから」
「…あなた、意味分かって言ってます?」
「うん、知らない!」
しょうがないじゃん。3年近く経った今でも変わらず大好きなんだもん。
最初はツンとプライドが高くていけすかない男の子だったけれど、絶望しかない状況でも目を輝かせて立ち上がった彼に一気に惹かれてしまった。
そこからポケモンに対する愛情と、不器用ながら人と接しジムリーダー業をこなしている姿、そして険悪だったホップとも何だかんだで仲良くしている彼の努力家なところ等、好きになる理由しかなかった。
絶対に他の人に盗られたくない。私だけを見て欲しい。だから私はずっとチャンピオンの座に居続けている。
でも、さすがに少し疲れてきて、思わずポツリと言葉が出てしまった。
「じゃあ結婚してよ…」
言った直後、後悔した。
付き合うのが駄目なら結婚なんて絶対にあり得ないのに。
笑って誤魔化そう、ビート君を見たら左手で顎に触れ、いつもと違い何処か考え込んでいるビートくんが居た。
「結婚、ですか…」
「え、どうしたの?」
「いや…結婚ならぼくがあなたと一緒にいる姿が想像出来るなぁと」
「え」
「何より…付き合うのと違って嫌な感じがしないんですよね。…ぼくとあなたとの子供はさぞかし可愛いんだろうな」
ボソリ、と発せられるこうかばつぐんの言葉。
あれ、私ってかくとうタイプだっけ?
「…って、ユウリさん聞いてます?」
「え、ひゃ、…」
「凄い真っ赤」
フハッ、とビート君は声を出して笑う。
「付き合うのは断固拒否ですが、結婚ならしても良いですよ」
ビート君はいつも通りの上から目線で返事をした。
「け、結婚って、あれだよ!? ちゅー以上の事もするかもだよ!?」
「知っていますよ。ぼく、子ども欲しいんで付き合って貰わないと」
「私、カレー以外まともに作れないよ!? いや、ちゃんとお母さんから料理習うけど!」
「ぼくはバアさんに嫌という程仕込まれているので、あなたより完璧なのは確かです。
でも、一緒に並んで食事の用意をしたいですね」
ビートくんは私より未来を見据えて話している。これ、私の妄想じゃないよね?
「…本当に良いの?」
「嫌だったらいつも通り断り…って何泣いているんですか」
そう言ってビートくんは私に近付きハンカチで私の目元を拭ってくれた。
良い匂いがした。
「だって、夢みたいで…私、ずっとずっとビートくんの事が好きで大好きで、絶対他の人に盗られたくなくて」
「…初めて聞いたけど」
「SNSでビートくんと知らない人の2ショットの写真を見る度、嫉妬ばかりしていたの。私とは撮った事ないのにって」
「…これからは何枚でも撮ってあげても良いですよ。あなたはずっとぼくにとって特別な存在ですから」
そう言ってビート君は優しく抱きしめてくれた。