「入間さん。こんど、友人を家に呼んでもよいでしょうか」
先輩と会ったその日の夜に、神宮寺がそう切り出してきたので、銃兎は思わず「彼女ですか?」と尋ねてしまった。
「彼女?」
「あ、いえ、何でもないです」
「クラスで一人、仲良くなれたひとがいるんです。彼が、私がどんな勉強をしているか興味があるというので」
神宮寺は楽しそうに微笑んでいる。まだ学校に通い始めてひと月も経っていないのに、もう家に招くほど仲の良い友人ができたのか。銃兎には少し意外だったが、彼の学習能力の高さを思えば、「友人関係」というもの自体に慣れるのもそう苦労はしないのかもしれない。
「いいじゃないですか。いつ呼ぶんですか?」
「そうですね、今度の金曜日か土曜日に」
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