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    saku2442

    pdl 荒新の字書き
    幸せな推しの妄想をするのが日課です

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    saku2442

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    大学生荒新
    他の子を可愛いって言う荒北さんに、モヤッとしちゃった新開さん。

     食後のうっすらと眠気漂うまったり時間。テレビから流れるバラエティー番組を、睡魔と戦いながらぼんやりと眺めていた。そこに映し出されていたのは、最近よく見かける女の子。名前は覚えていないけど、誰かが可愛いって騒いでいた気がする。
     ゼミで一緒のヤツだったか? それとも部活の仲間だったっけ? まぁ、どっちでもいいか。
     ふわりとした笑顔を浮かべながら、その子は司会者の質問に答えている。ちゃんと自分の言葉で喋っているのに、際どい質問は天然ぽく躱していて、これは人気も出るだろうなと納得していた。
    「なんかさ、この子いま人気みたいだよな」
    「んぁ、……あー可愛いもんなァ」
     他意もなく口にした言葉に、意外な返事が戻ってきて思わず固まってしまう。チラリと視線を送り、隣に座った靖友の様子を窺った。テレビに夢中なのか、それとも彼女に夢中なのかオレの視線に気づく気配はない。
     もう一度、目線を戻してテレビの中の彼女を観察する。ふわふわと、肩の辺りまで伸びた柔らかそうな髪の毛。大きくて垂れた目と、ぷるぷるで厚い唇は口角をゆるりと上げている。
     うん、可愛い。可愛いけどさ、……靖友ってこういう子が好きなのかよ。
     そういえば、今まで靖友の好みって聞いたことない。確かに普通に女の子が好きだとは思ってたけど、実際に聞くと嫌な感じがする。なんと言うか、胸の奥でぐるぐると何かが渦巻く感じ。横目でまた靖友を見ても、やっぱり視線はテレビに釘付けだ。
     ちょっと待って、そんなにその子気に入ったの? オレと一緒にいるのに他の子に夢中とかあり得ないだろ。久しぶりに会った恋人より、可愛い女の子取るなんて絶対ダメに決まってる。だいたいそこまで夢中になるほど可愛いか? ずっとヘラヘラしてるのって嘘くさいじゃん。その天然ぽい発言だって絶対作りだからな、計算して言ってんだって。心の中でこれでもかと毒ついて、はたと気づく。
     うわっ、ダッサ! これ完全に嫉妬じゃん。
     実際に側にいるわけでもない、テレビの中の住人に嫉妬するってどういうことだよ。急に恥ずかしくなって、思わず膝に顔を埋めて隠した。別に靖友がこっちを見てるわけじゃないけど、でもさすがに自分がダサ過ぎて堪らない気持ちになってしまう。
    「新開?」
     突然そんな行動をとれば、そりゃあ靖友にも気づかれる。不思議そうに呼ばれたけど、それは無視してやり過ごすことにした。
    「おーい。どしたァ?」
     ふわりと靖友の手が頭を撫でてくる。だけど、やっぱり顔は上げられなくて膝を抱えたまま頭を横に振った。
    「……なんでもない」
     全然なんでもないって態度じゃない。自分でもそう思うんだから、靖友にはもっと変に見えてるはずだ。ふっと靖友の指が耳元を滑って、次にはこめかみにキスされた。そのまま唇は耳殻を食んで、舌先が穴の中に差し込まれる。ビクリと身体が震えた瞬間、靖友に押し倒されていた。
    「なァに、拗ねてんのォ」
     間近で見えた顔は、なぜか少し楽しそうに笑ってる。
    「……拗ねてなんかないよ」
    「ふーん、じゃあ何考えてたの?」
     そんなの言えるわけがない。ふいっと顔を反らして口をつぐむと、頬に柔らかなキスが降ってきた。そろりと目だけ動かして靖友を見ると、ちゅっと可愛い音を立ててまた頬にキスをくれる。
    「新開、おまえが一番かわいいヨ」
     ニッと口角を上げた靖友にそう言われて、一瞬呆けてしまう。もしかして全部バレてた? そう理解した途端、信じられないくらい顔が熱くなる。
     ヤバい、恥ずかしい。どこから? え、どこから気づかれてたんだ。
     頭の中はパニックで言葉なんか出てこない。くつくつと靖友の笑う音だけが聞こえて、余計に恥ずかしさは増してくる。
    「一番になれた気分はどーですかァ?」
     人の顔を覗きながら、からかってくる靖友はたちが悪い。悔しくて責めるように視線を送っても、気にする素振りもなくずっとニヤニヤしている。
    「靖友なんて、知らない!」
     覆っていた体を押しやろうと伸ばした手は、掴まれ床に縫いつけられた。笑った靖友の顔が近づいて、ふわりと唇がおでこに触れる。瞼、頬、鼻の頭と降りてきて最後は唇にキスされた。
    「しんかい」
     口づけも、呼ぶ声まで柔らかくて胸がキュンとする。あ~、もう好きだ! そうだよ、一番可愛いって言ってもらえて嬉しかったんだ。腕の力を抜いて見上げると、靖友の手が頬を撫でてくれた。そこにすり寄って、手のひらにそっとキスする。
    「靖友の一番はずっとオレじゃなきゃヤダ」
     すっと首に手を回したら、靖友は満足そうに微笑んでまた柔らかな口づけをくれた。
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    saku2442

    DOODLE大学生荒新
    お昼時にメッセージのやり取りをする荒新のお話。待宮さんも登場します。
    だって、君は特別。
     うどんを一口すすったところで、テーブルの上のスマホが震えた。すぐに止まったそれは、通知を知らせるためにピカピカ光る。箸を置き、代わりにそいつを手に持った。素早くロックを解除し、送り主を確認すると想像していたヤツからのメッセージ。
    『うまそうだろ!』
     その一言と共に送られてきた写真。そこには分厚いカツの乗ったカレーが写っていた。昼食にしては中々のボリュームだが、こいつなら平気で平らげるだろう。口いっぱいに頬張り、幸せそうに食べる姿を思い浮かべ自然と口元が緩む。
    『うまいからって早食いすんなよ』
     そう文字を打ち込んでから、テーブルへスマホを置き食事を再開させた。
     新開はこうして、自分の食べる物を撮ってよこすことがある。それ以外にも澄んだ青空、季節の花や路地裏の野良猫。何気ない日常を切り取ったようなそれらに、オレはいつも癒やされている。本音は恋人の写った写真の方がいい。けど自撮りが下手なこいつは、まともな写真をよこしたことがなかった。たまに福ちゃんが送ってくれる写真の方が、よっぽど上手く撮れている。
    2084

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