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    saku2442

    pdl 荒新の字書き
    幸せな推しの妄想をするのが日課です

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    saku2442

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    高校生荒新で1人ワンライ
    全部ってことでいいですか?

    「なぁ、靖友はオレのどこが好き?」
     口の中にアーモンドチョコを一粒放り込み、新開は尋ねてくる。ガリッと音を立てアーモンドを噛み砕き、何度か口をモグモグ動かしてから新開はこちらへ顔を向けた。
    「ね、どこ?」
     少し首を傾げじっと見つめる瞳から、視線を反らさず様子を窺う。新開がこういうことを訊いてくる時は、何かに不安を覚えていることが多い。けれど今日はそういう感じでもないみたいだ。だったら真面目に答えてやる必要もないな。
    「さァね」
    「なんでだよ、教えてくれてもいいだろ!」
    「い、や、だ」
    「……靖友のケチ。なぁ一個だけでいいから」
     どうしても訊き出したいのか、新開はどんどん距離を詰めてくる。両手でオレの二の腕を掴み、顔はすぐにキスが出来るくらい近くにあった。
    「っせ、つーかなんで急にこんなこと訊いてくんだヨ」
    「なんとなく気になって」
    「だからァ、それがなんでだって訊いてんの」
    「……今日クラスでそんな話しになったから」
     ここまで問い詰めて、やっと新開はモゴモゴと理由を話し始める。続きを促すよう視線で合図すると、新開はスッと瞳を反らす。
    「みんな彼女のここが好き、とか言ってて……それ聞いてたら、靖友はオレのどこが好きなのかなって」
    「そいつらはドコつってたんだ?」
    「ん? あぁ顔とか、胸とか……あと優しい、守ってやりたいとか?」
    「ふーん。じゃあ、おまえは?」
    「え?」
    「新開はオレのドコが好きなんだヨ」
     きょとんとしてから、すぐに新開は首を捻り考える素振りをみせた。しばらく黙って観察していると、だんだん眉が下がり困った顔へと変わっていく。なんだこれ、ひとつも思いつかないってオチじゃねぇだろうな。人に訊いといて、自分は何もないとかありえねぇだろ。
    「えっと、ぜんぶかな」
    「……全部ってェ?」
     ゆっくりと新開の口から零れた言葉は、考えていたものとは全く違った。でも、もっとハッキリと言ってほしくて、わざと訊き返す。
    「んと、靖友の全部が好き! 靖友が靖友だからオレは好きなんだ」
     パッと顔を上げへにゃりと可愛く笑った新開に、オレの口許も緩くなる。
    「んじゃ、オレもそれで」
     くしゃりと頭を撫で、覗くように視線を合わせると新開はむぅとむくれた。
    「なんか、ズルくねぇか」
    「なにがァ」
    「だって靖友、結局答えてねぇだろ」
     誤魔化されてやるもんかと、食い下がってくる新開の可愛さに口許はさらに緩くなる。
    「やすとも!」
    「そーいうとこォ」
    「へ?」
    「おまえの、そうやってコロコロ変わる表情も、甘えたなトコも、めんどくせートコも……とにかく全部だヨ」
     軽くキスしてもう一度顔を覗いてやると、今度は真っ赤な顔がそこにあった。
    「しんかァい」
    「や、まって、不意打ちはムリ」
    「んだヨ、それ。自分で訊いたんだろ」
    「だって、なんか、……もう、靖友カッコいい。好きだ」
     両手で顔を隠した新開の手を取って、そっと唇を近づける。ふわりと重なったそれに、あぁ、ここも好きだなとか思ったりしていた。
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    saku2442

    DOODLE大学生荒新
    お昼時にメッセージのやり取りをする荒新のお話。待宮さんも登場します。
    だって、君は特別。
     うどんを一口すすったところで、テーブルの上のスマホが震えた。すぐに止まったそれは、通知を知らせるためにピカピカ光る。箸を置き、代わりにそいつを手に持った。素早くロックを解除し、送り主を確認すると想像していたヤツからのメッセージ。
    『うまそうだろ!』
     その一言と共に送られてきた写真。そこには分厚いカツの乗ったカレーが写っていた。昼食にしては中々のボリュームだが、こいつなら平気で平らげるだろう。口いっぱいに頬張り、幸せそうに食べる姿を思い浮かべ自然と口元が緩む。
    『うまいからって早食いすんなよ』
     そう文字を打ち込んでから、テーブルへスマホを置き食事を再開させた。
     新開はこうして、自分の食べる物を撮ってよこすことがある。それ以外にも澄んだ青空、季節の花や路地裏の野良猫。何気ない日常を切り取ったようなそれらに、オレはいつも癒やされている。本音は恋人の写った写真の方がいい。けど自撮りが下手なこいつは、まともな写真をよこしたことがなかった。たまに福ちゃんが送ってくれる写真の方が、よっぽど上手く撮れている。
    2084

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