吸血鬼悠×社会人七「君、本当に吸血鬼なんですか?」
どこにでもあるチェーン店の珈琲屋。
日中のまだ日が高い空の下で、私の目の前に座っている彼は季節限定の新メニューを美味しそうに味わっている。
「…まだそれ言う?」
コテンと首を傾げる人物はどうみても高校生。よくて大学生ほどにしか見えないのに、歳を聞けば「多分200歳ぐらい…?途中からわかんなくなっちゃった」と言っていた。
「それは、まぁ…。理解はしているつもりですが未だ信じられませんので」
非日常な会話は、どこかの誰かが聞いていたら頭は大丈夫かと病院にでも連れていかれそうだ。
「ふーん。まだ信じられないんだ」
純粋無垢な少年のような顔から、大人の顔に変わるのは一瞬で、細められた目元と、三日月を描くように上がる口元に体が強ばる。
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