手紙「お主らさ〜、手紙誰宛てにした?」
いつもの昼休み。いつもの友達。いつものオタクトーク。アニメの最新話について盛り上がっていた最中、ふとマジカルみみ(美少女アニメだ)オタクの山田が言い出した。
彼が言う手紙とは、四時間目の現代文の授業で出された課題のことである。時候の挨拶やら拝啓・敬具やらの手紙の書き方を学んだので、じゃあ次は実践してみましょうか、というものだ。別に、中身を先生に見せるわけでもなんでもないし、提出の必要もないのだが、先生がご丁寧に自費でクラス全員分の便箋と封筒を用意してくれたからか、書かない選択肢を選ぶ人はほとんどいなかったように見えた。勿論自分も例外ではなく、誰かには書く心算ではあったが、手紙を書くような相手が見つからず困っていた。
2012