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    sakura__cha

    @sakura__cha

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    sakura__cha

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    我、攻が受の気付かないうちに自分に依存させるの大好き侍!
    本編終了後の時間軸のつもり。
    性癖なのでどのジャンルでも大体書いてる。
    そして尚清華が冰秋に関わると大抵ロクな目に合わない。

    ##SVSSS##冰秋
    ##人渣反派自救系统

    【冰秋+尚清華】俺の生み出したキャラが闇深モンスターに成長していた件。 尚清華は後悔していた。
     毎日毎日山のようにこなさねばならない些細な業務の積み重ねに嫌気がさし、突発的に書類を届けるという名目で馴染みの人間の元にサボりに来たわけだったが、やはりこの場所を選んでしまったことは間違いだったかもしれない。
    「はあ……」
    「? なんだよ、ため息なんかついて。いきなりアポなしに人の家に訪ねてきといてその態度はないんじゃないか」
     思わず重いため息をついたこちらに、ここの家主たる沈清秋は眉を寄せて首を傾げた。まるで理由が分からないといった様子の彼にもう一度大きなため息をつき、じろりと視線を向ける。
    「いや、だってさあ……。こう言っちゃなんだけど瓜兄、冰河に何もかもやらせすぎじゃない? 今日だってそんなに長い時間見てたわけじゃないけど、家事も自分の世話もぜーんぶ冰河任せじゃん。原作者として、自分の生み出したキャラがこうも誰かに良いようにこき使われてるのを見るのってなんかさあ……」
    「う……っ」
     呆れ混じりにそう指摘すれば、沈清秋――瓜兄は言葉を詰まらせ気まずげに視線を逸らした。その様子を見て、やはりさっきの自分の指摘は間違ってなかったのだと確信する。
     これまでの献身的な尽くしぶりを見るにそうだろうなと予想はしていたが、今日訪ねてきてからというもの冰河が炊事洗濯掃除と忙しそうに家事にいそしむ中、目の前の相手は冰河の淹れてくれたお茶を飲みながら優雅に自分の相手をしている。もちろん来客対応中だからということもあるのだろうが、この調子では恐らくこれが通常の日常風景なのだろう。今だって小腹が空いたという彼のために、冰河が厨房で軽食を作っている最中だ。
    「誰もが恐れる魔王さまにそこまで甲斐甲斐しくお世話してもらえるのなんて瓜兄くらいだよ。まあ、もっとも冰河もあんた以外には絶対こんなことしないだろうけど」
     自分の書いた原作中の冰河でさえここまで誰かに対して甲斐甲斐しくはなかったのだから、ある意味これも瓜兄の教育の賜物だろう。
    「もしかして朝起きてから夜寝るまで、着替えとか髪とかすのとかもぜーんぶ冰河にやってもらってんの? でもって夜はソッチのお世話まで? ははは赤ちゃんじゃん、マジウケる」
    「笑うなよ! いや違うんだって、別に何もかもってわけじゃなくて、俺だってたまにはそのー……えっと……。…………やっぱ第三者から見てもまずいって思うか?」
     どうにか体裁を整えようとしたらしいが結局どうにも言い訳できなかったようで、瓜兄はがっくりと肩を落とし弱々しくこちらを見た。
    「まー本人たちが納得してるんなら周りがどうこう言うことじゃないとは思うけど、仮にも大の男がこうも全部が全部お世話してもらってるってのはあんまりよくはないよね」
    「だよなあ……」
    「あ、自覚はあったんだ」
    「そりゃあな……俺もさすがにちょっとやりすぎかなーとは思ってたし。いや、清静峰にいた頃から冰河にいろいろお世話してもらってたってのはあるんだよ。知っての通り、冰河って気が利くし料理も美味いし事務仕事させても優秀だし、何やらせてもそつなくこなすっていうか期待値を上回る働きで返してくれるじゃん? でもって清静峰を離れてこうやって二人で暮らし始めてからはその傾向がより強くてさ、俺が何か言う前に率先してやってくれてるし色々気を回してくれるんだよ。だから俺もついつい甘えているうちにそれが当たり前になっちゃったっていうか……これでも反省してるんだ」
    「え、もしかして俺、今惚気られてる? なに瓜兄、これ反省という名の盛大な惚気話なの?」
    「違う! マジな話だって。正直、最近俺もう料理の仕方とか洗濯のやり方とか、元の世界でちょっとは身に着けてたはずのそういうのも全部頭から抜けてきちまってるからな」
    「……瓜兄さあ、まさか食事も全部あーんで手ずから食べさせてもらってるとかはないよね?」
    「な、さすがにそこまではない! ……まあ、すっごく疲れたときとかはたまーに……食べさせてもらったりするときもある……けど……」
    「たまにでも、あるはあるんじゃん! うわー、マジで結構やばいね。正直想像以上だったわ」
    「うう……。でも本当自分でも心配してるんだよ。マジで今の俺、もし冰河に捨てられちまったらこの先どう生活すりゃいいのってレベルだもん」
     惚気話のようにも聞こえるが、どうやら本人はいたって真面目らしい。真剣な口調で話す相手を、卓に片肘をついて眺める。瓜兄はひどく不安そうな表情をしているが、実際のところその心配は無用だと思う。
    (冰河に捨てられるねえ……。その心配はまずないと思うけどなあ)
     今日ここを訪ねてきた際、最初に向けられた冰河からの視線を思い出す。せっかくの二人きりの時間を邪魔されたことに対するあからさまな不快感と敵意を示していたあの瞳を見るに、彼の瓜兄への想いはこちらの想像している恐らく何倍も強く重い。冰河が瓜兄を捨てるよりも、瓜兄が冰河から逃げる方がまだ可能性があるだろう――もっとも、その際は即捕獲からのヤンデレ監禁溺愛ルート一直線だと思うが。
    「とにかく、やっぱこのままじゃよくないよな。よし、俺今日からちょっとずつ自分の世話は自分でできるようにするわ。そんできちんと自立して――」
     拳を握り瓜兄がそう気合いを入れかけたとき、厨房から甘い香りと足音が近づいてきた。それに気づき、慌てて頬杖をやめて姿勢を正す。
    「――何やら盛り上がっていらっしゃいますね。師尊、尚師叔と何のお話をされておられるのですか?」
    「あ……び、冰河」
     手に盆を持ち優雅な足取りでやってきたのは洛冰河だ。柔らかな微笑みを浮かべているが、それを向けられているのは瓜兄ばかりでこちらには目もくれていない。
    (やべ、瓜兄との話聞かれてたか?)
    「どうぞ、芝麻球を作ってまいりましたのでお召し上がりください。それと、新しいお茶もお持ちしました」
    「ああ、すまない。ありがとう」
    「いえ。……それで、一体何のお話を?」
     にこやかな表情のまま、冰河は新しいお茶と芝麻球の載った皿を卓の上に置く。かろうじてお茶はこちらのものも用意されていたが、おやつは一皿だけ――瓜兄の分だけだ。明らかに自分の前に置かれた皿を瓜兄が気を遣ってさりげなくこちらとの中間地点に差し出してくれたが、いくら美味しそうだからと言って冰河の目の前でこの皿に手を伸ばす勇気はさすがにない。
    「いや、その……最近とみに、私がいつも何から何までそなたに頼りすぎなのではないかと思ってな。少々反省していたところだ」
    「へえ……それは尚師叔とのお話でそういったお考えに?」
     穏やかな声で言いながら、ちらりと冰河がこちらを見る。ほんの瞬き程度だったにも関わらず全身が身震いするような恐ろしい視線を向けられてびくりと体が強張った。
    (ちょっとー! 瓜兄何してくれてんの! 俺のこと殺したいわけ⁉)
     思わず非難めいた視線を向けると、失言だったと気づいたのか瓜兄は慌てて首を振った。
    「ああいや、そういうわけではない。普段から思っていたことだ。あまり弟子のそなたに頼りきりなのも師として好ましいことではないし、これからは私ももう少しそなたにばかり頼らない生活を心がけようかと」
    「そんな……お気になさらないでください。弟子は師尊のお役に立てるのが何よりの喜びなのですから。むしろその喜びを奪われてしまっては弟子は悲しゅうございます」
    「だが、このままでは私はそなたがいなければ何もできなくなってしまうぞ? それではそなたも困るだろう」
    「いえ、私でよければいつまででも師尊のお傍に仕えさせてください。師尊のことでこの弟子が困ってしまうことなど何一つありはしませんから」
    「冰河……」
    (……俺、一体何見せられてんの?)
     こちらの存在も忘れすっかり二人の世界に入ってしまった彼らを眺めながら、黙ってお茶をすする。
    「そうだ。そういえば師尊、たしか以前に『今度尚師叔がいらっしゃったらお渡しする書物がある』と仰っておられませんでしたか?」
    「ん? ああそうだった。ありがとう冰河、おかげで思い出せた。というわけで尚師弟、すまないが少し待っていてくれるか。すぐに持ってくる」
    「えっ、あ、ああ……っ!」
    (嘘ちょっと待って、この状況で今冰河と二人だけにしないで!)
     だが呼び止める間もなく、瓜兄はすたすたと部屋を出て行ってしまう。残された室内につかの間重い沈黙が落ちる。
    (うわーやだこれ気まずい……。瓜兄、早く帰ってきて……)
    「尚清華」
    「うわはいっ⁉ は、ははははいっ。何でしょう⁉」
     突然名前を呼ばれ、椅子が揺れるほど体が大きく跳ねる。さっきまで瓜兄に向けられていた甘い声とはまるで違う平坦な声にはいまいち感情が読み取れない。
    「先ほどの師尊のお話だが」
    「あ、いやあのっ。別にその、君上を批判したわけではないと思いますよ。あれは多分本人なりの決意表明というか何というか……」
    「何をそんなに焦っている? そうではなく、全て私に頼りきりで何か問題があると思うか?」
    「へ? ……いや、えーっと……」
    「私は師尊の全てをお世話したいし、頼っていただきたいと思っている。だから現状にまるで不満はないのだが」
    「や……でもあの、あまり全部が全部おんぶにだっこ状態というのも……大変じゃありませんか?」
    「大変? 何が? むしろこれまで努力してようやくこの状態まで辿り着いたのに」
    「努力してって……あ、え?」
    (じゃあもしかして、これまで甲斐甲斐しくお世話してたのも全部、瓜兄が一人じゃ何もできなくなるように仕向けてた……ってこと……?)
     それはただの甘やかしを超えている。そこはかとない恐怖を感じて身を引けば、冰河はうっとりとした表情で天井を仰いだ。
    「最終的な目標としては、私がいなければまったく何もできないほど依存していただきたいと思っている。そのためにはもう少し時間が必要だとは思うが、そう遠くない将来そうなってくださるだろう。だからこそ、先ほどのようなお考えは早々に捨てていただかなくては……」
    (うわ、怖。怖ー! 瓜兄逃げて!)
     自分の生み出したキャラクターは、瓜兄の教育によって更なるモンスターに成長してしまったのかもしれない。ぞぞぞと鳥肌の立った腕を思わず抱きしめていると、何も知らない瓜兄が書物を持って戻ってきた。その瞬間に冰河の表情もいつもどおりの邪気のないものに戻る。
    「すまない、待たせたな。……ん? どうした尚師弟、寒いのか?」
    「あ、いや……」
     同じ世界から来た転生仲間として何か忠告してあげたい気持ちもあったが、冰河を前にして言えるはずもない。
    (応援するしかできないけど……頑張ってね瓜兄)
     傍らの男にどんなことを望まれているかも知らず美味しそうに芝麻球を頬張る転生仲間に心からの同情を寄せ、黙って胸の中で手を合わせた。
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    sakura__cha

    DONEさはんOOCの開催おめでとうございます、そしてありがとうございます!
    せっかくなのでイベント合わせで新作展示したいなと思って書きました。
    漠尚書くの初めてなので果たして解釈が合っているのか少し不安なところではありますが、ノリがひどいギャグなので勢いで読んでください……!
    漠尚のタイトルはよくあるTL小説風味。色々ひどい。
    ★新作★【冰秋+漠尚】俺(たち)の恋人がこんなに○○なわけがない!「やっほー瓜兄、お邪魔しまーす」
    「おおよく来たな、すぐ帰れ」

    返事も待たず勢いよく竹舎の主室へ入ってきた尚清華へ沈清秋は間髪入れず事務的な微笑みで言い放った。
    着いて早々出鼻をくじかれた尚清華は不満そうに頬を膨らませ、勝手に卓の向かい側に座るとまだ手つかずだったこの部屋の主の茶を勝手に飲み干す。
    「はー美味し、やっぱ清静峰の弟子ってお茶の淹れ方上手いよね、安定峰ももうちょっと上達してくんないかなあ。いまいち淹れ方がよくないっていうか後味が渋いんだよね」
    「……それ、冰河が淹れた茶だぞ。うちのは皆結構お茶淹れるの上手いけど、冰河はやっぱり別格」
    「へー、さすが俺の息子じゃーん。パパは鼻が高いよ! まあそれはそうと、さっきの言葉は何さ。せっかく親友が遊びに来てやったってのにいきなりその態度はひどくない?」
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    sakura__cha

    DONE我、攻が受の気付かないうちに自分に依存させるの大好き侍!
    本編終了後の時間軸のつもり。
    性癖なのでどのジャンルでも大体書いてる。
    そして尚清華が冰秋に関わると大抵ロクな目に合わない。
    【冰秋+尚清華】俺の生み出したキャラが闇深モンスターに成長していた件。 尚清華は後悔していた。
     毎日毎日山のようにこなさねばならない些細な業務の積み重ねに嫌気がさし、突発的に書類を届けるという名目で馴染みの人間の元にサボりに来たわけだったが、やはりこの場所を選んでしまったことは間違いだったかもしれない。
    「はあ……」
    「? なんだよ、ため息なんかついて。いきなりアポなしに人の家に訪ねてきといてその態度はないんじゃないか」
     思わず重いため息をついたこちらに、ここの家主たる沈清秋は眉を寄せて首を傾げた。まるで理由が分からないといった様子の彼にもう一度大きなため息をつき、じろりと視線を向ける。
    「いや、だってさあ……。こう言っちゃなんだけど瓜兄、冰河に何もかもやらせすぎじゃない? 今日だってそんなに長い時間見てたわけじゃないけど、家事も自分の世話もぜーんぶ冰河任せじゃん。原作者として、自分の生み出したキャラがこうも誰かに良いようにこき使われてるのを見るのってなんかさあ……」
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