丑三つ時、割れたガラス、空腹。 終わらない夜はないけれど、朝が必ずしも希望を運んでくれるとは限らない。
憂太たちの搭乗した飛行機が成田に着いたのは日付が変わるギリギリだった。その頃には東京の都市機能はすっかり失われていて、あと一日でもいいから早く帰ってこなかったことをひどく悔やんだものだ。五条の命令とは言え半年近くもの時間を共に過ごしたミゲルはすっかり相棒同然の存在になっていて、彼は渋谷に向かうという憂太をひどく心配した。今から行ったところでどうにもならないだろうと言われたが、それでも憂太は焼け野原となった渋谷へ目指すことを決めた。
一つは呪霊の大量発生。渋谷で放たれた大量の呪霊は既に23区をあらかた崩壊させ、放っておけば人の多い都市へと移動して行くに違いない。道中で少しでもそれを削っておきたかった。
5508