ヘルムートがランシールに留学したとき、軍帽に目をつけられて厭われることが多々あった。
おそらく軍帽の印象が強かったのだろう、素にさらしておりている髪をみると、意外気な目にみられた。
別にどうということはなかった。だが士官候補生としては年かさだったためか身にまといヘルムート自身が臆さず抱く帝国軍人としての姿勢ゆえにか、どうやら制服と素のイメージが噛み合わなかったらしいとあとから知る。
それを知ったきっかけは、ヘルムートに臆することなく来られるG君の委員長の率直な感想の一言だった。
「ヘルムートってけっこう……髪型おろすとなんかあんまり怖い顔じゃなくなるんだな、はじめて知ったぜ」