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    えぱぱ

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    えぱぱ

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    57FESTA!!で配布しておりました。
    布団をひとりじめする五にキレる七もとい脳内でひたすら惚気てる二人の話です。ラブラブ。

    #五七
    Gonana

    わたしのからだをあたためて!「あなたが着ればいい話でしょう!?」
     いつまで夏が続くのやら、と思っていれば夏をすっとばしてもはや冬ではないか。
     十月末の、この時期の朝は寒い。裸足でフローリングに立とうものなら、足裏からつたわるつめたさにぶるりと身震いすることになる。もこもこのルームシューズは去年買ってきたときには彼に笑われるハメになったが、今となっては立派に私にとっての生活必需品のひとつだ。
    「だって素肌に感じるぬくもりって最高じゃない?」
     彼に寒がりだと称される私は長袖のスウェットに布団でしっかり首元まで覆い、そうしてこのひとのぬくもりを感じながら眠りにおちているはず。彼のぬくもりはともかくとして、この時期の寝巻は長袖が一般的だろう。
     そんなさなかにこのひとは、半袖半ズボンで寝やがるのだ。別にそれだけならいい、自由にしてくれ、見ているこっちが寒いだけだ。
     問題は、目が覚めるとたいがいこの人に布団をぶんどられていること。それはごく最近からで、まあ寒いからだろう。その布団のひとりじめに抗議しているというわけだ。
     そしたらこのひとは! 厚着だから大丈夫だろ、と! 私の話を聞いていたのだろうか。このひとはほんとうにこういうところがある、ひとの神経を逆なでするようなところが。
     ルックス目当ての誰かさんと付き合ったとていつか愛想をつかれるだろう、私だから付き合えるのだ……思いあがりすぎか? 多分、事実というより私の願いだ。私以外とうまくいきませんように、なんて立派にできてしまった独占欲に少し嫌気もさしつつ。
     まあ、かく言う私も彼を好きになったのはひとめぼれだったのであまり大口はたたけない。仕方ないじゃないか、このひとの美貌には屈するしかない。
     そんな話はどうでもいい、脳内で惚気話をぶちまけても意味がない。寒いと言っているんだ。
     厚着なら大丈夫と言うのならあなたも着ればいいだろう、というのが冒頭の私の発言。
     というか、私の今の格好は厚着でもない。上下とも何の変哲もない無地のスウェットだ。裏起毛のものにしようかと昨晩悩んだがやはりそちらにするべきだっただろうか。だからといって、布団をひとりじめした彼の罪が晴れるわけではない。大の大人が朝からベッドの上で何をしているんだ、ほんとうに。
     こんな(彼のせいでと言うべきか、彼のおかげでと言うべきか)喧嘩にもならないことをする暇があったらもっと有意義なことができる。せっかく彼と休日がかぶっているというのに。そうだな、例えば……違う、今はそんな話をしているんじゃない。
     彼のことになると話が脱線してばかりでかなわない。睡眠の質は体調にも精神にも影響しうるのだ、しっかり言っておかないと。
    「いいように言ってますが、私にはぬくもりもクソもないですからね」
    「……寝るときはおまえを抱きしめてんだけどね」
    「自分の寝相の悪さを反省してください」
     ごめんって。
     なだめるように抱きしめられる。ずるい、これで私の怒りがおさまってしまうことを、このひとは知っている。私も私だ、あまりにちょろすぎる。恥ずかしいと思わないのか。……いまさら恥ずかしいだなんて思うわけがないだろう、彼にはさんざん痴態を見られてきた。
     でも、だって、だいすきなひとの腕の中だなんて最高以外のなにものでもないじゃないか。だいすきなひと、か……恥ずかしい、恥ずかしいな。すこし前の私、やはり恥ずかしいことだらけだ、強がるのはやめろ。彼が読心術の使い手でなくてよかった。こんな間抜けな思考が筒抜けだと、考えるだけで泣いてしまいそうになる。
     腕の中はあたたかい。彼の熱とにおいにすこしだけ頬も緩んだ。
     私より平熱が高い彼から伝わってくる熱は普段から高いように感じるが、今日は格別だな……だってこのひと、私のぶんの布団をうばって。
     そうだ、私は怒っていたはずだ、こんな、彼の肩に顔をうずめようとしている場合ではない。
    「……これで許されると思ったら大間違いですからね」
    「え〜〜……、じゃあとりあえずもっかい寝よ?」
    「は?」
     とりあえず、とは。
    「せっかく丸一日休みが重なったんですよ」
    「満足に二度寝できるのも休日の特権でしょ」
    「そう、ですね……」
     彼に流されっぱなしな気しかしないが、その実まだ日が昇りはじめたばかり。からだに染み付いたルーティーンは休日も、多少であれば疲れているときも発揮してくれるものだから。あくびをかみ殺す。第一、眠たい人間がぱっちりと目がさえている人間に自分のペースで挑めるわけがないのだ。
     私の肯定に笑った彼は私の手をやさしくひっぱって、ともに横になった。しっかりと布団もかぶって。
     からだがだるい。昨晩の行為が原因だろう。
     彼と恋人などという関係になった当初、高専生の頃は私も彼も若かったものだから、寝巻を着る体力もなく寝落ちしてしまうことも多かった。しかし、今はそんなこともない。まれに盛り上がってしまって起きたら全裸なんてこともあるが、自制ができるようには成長した。
     昨晩も私がちょうど倦怠感と快楽の間で眠たくなる直前に行為が終わった。それから一緒に風呂に入り、頭を体を洗われ、彼が満足に足をのばせるくらいには広い浴槽に向かい合って湯につかってからだを温めて。風呂上りにはスキンケアのクリームが塗られ、そうしてドライヤーで乾かされ。彼からしても重いだろう、私を横抱きにしてベッドまで運んで。
     ここまでなら、むしろ尽くしすぎではないかというくらいのものだが。しかも、あの五条悟がこんなことをしているのだ。生徒のスカートを勝手にはくような(虎杖くんから聞いたがこれに関しては五条さんが最低だとしか思えない)デリカシーのかけらもないように思える男がだ。
    「ねえ、さっきからおまえ、ずっと笑ってるの気づいてる?」
    「じゃましないでください……せっかくきげんがよかったのに」
    「なんのこと考えてた?」
    「わかってるくせに」
    「言わせたいんだよ」
     私のかおを見る彼がとても幸せそうだから、もう何でもいいやとそれほど湧いてもいなかった怒りが沈んでいく。ただ、寒いのはあまり好きではないから温めてはほしい。それこそ、今みたいに。ふたりで冬を乗り越えられたらいいと思うのだ。おそらくもうすぐに暖房は使い始めるから、乗り越えるとかそんな、たいそうなものでもないが。
     おやすみ、と頭をなでられたところで、私は眠りに落ちていった。




     いや、僕の恋人かわいすぎるでしょ!? 百面相どころか二百面相くらいしてたけど!?
     あれで隠せていると思ってるんだもんな、嘘がへたくそ、というより表情に出やすいタイプだって早く……気づかなくていいや。
     僕だけが知ってればいいのにとか思ったけど、こいつが嘘が苦手で表情に出やすいかわいいやつってこいつ以外のみんな知ってたわ。僕と偶然高専で会った後にしあわせオーラ漂わせすぎて僕に苦情くるくらいだし。酒豪のはずのおまえが、飲みの席に僕といるとへにゃになっちゃうし。
     それほどにこにこしてるわけでもないから、何も知らない人から見たら少々あたりが強いようにも見えるかもしれないが、彼のことを知っている人間ならよくわかるだろう。無表情がデフォルトなのだからわかりやすいのだ。
     なんとまあ、かわいそうな(かわいらしい)ことよ。
     しかし、悪いことをしたな。僕に流されてばっかりでろくに言いたいこと言えてなかっただろうけど、彼のきもちも尊重、というとえらそうだし、違うな……二人で一緒に眠るのだから、布団を独り占めにするなんてもはや犯罪行為だろう。
     そもそも一緒に寝たいとねだったのは僕だ……が、七海も七海でぼくにぴったりとくっついて眠る。はあ、七海がかわいいせいで僕の脳内はいつも大忙しだ。

     あ、なんか寝顔見てたら僕まで眠くなってきた。寝る、寝るけど、僕また同じこと繰り返さないか? 絶賛半袖半ズボンだけど……。
     しかし、このぬくもりから抜け出て着替えるというのはあまりに酷な話だ。ひとまず、僕からも彼にくっついて眠るとする。腕の中に閉じ込めて。やはり、彼を怒らせた原因にはなってしまったが、素肌に彼のぬくもりというのは至高だ。
     目が覚めたときには、ちゃんと謝ろう。そして、彼が行きたがっていたパン屋にでも行って、お昼はそれを食べて、それからは……僕たちのお楽しみってことで。
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    MOURNING一ヶ月くらい前から書きかけて難航している五七。

    体調不良ネタ大好きなんだけどわたしの中の7ミンほんっと甘えてくれなくてぜんぜん進まないの……このままお蔵入りになってしまいそうなのでここに墓を建てておく。
    スマートフォンの向こうから耳に届いた声に、五条悟は眉を顰めた。

     デジタル化されていても耳に馴染む、一聴すると普段通りの抑揚の薄い声。だが他でもない五条がその変調に気がつかないわけがない。

    「ねえ、七海」

     電話の向こうで話す相手の言葉を遮って名を呼ぶ。思っていた以上に強い語気になってしまったことに、五条は自分でもやや驚きつつ言葉を続けた。

    「いまどこ」

     それまでの会話を完全に一蹴した質問に、電話の相手――七海建人が当惑する空気が伝わってくる。常ならば話を聴いていないことに対してひと言二言の諫言をするはずの七海が何も言わないのは、おそらく五条の声に孕まれる不穏な気配のせいだろう。
     普段の言動から自由奔放、傍若無人に振舞っている印象の強い五条だが、その実は無闇に負の感情を撒き散らすことはない。とりわけ七海と接するときの五条は、他の誰と対するよりも自然体且つ温和であることが多かった。

    「……帰るところですが」

     なにか不興を買うことをした自覚があるならまだしも、理由に心当たりのない七海は五条の不機嫌――とも違うかもしれないが――に、わずかながら動揺する。
     注意深く言葉を 2969

    smalldespair57

    DONE五×転生ばぶ七 
    事変後もろもろ落ち着いた世界線で、最速転生した七(5ちゃい)を五(34ぐらい)が育てています。
    七幼児注意。全ては私が生きるための妄想です。
     よく晴れた昼下がり、気温は20℃前後、空気も澄んで抜群の公園びより。
    平日でも結構子連れが多く、家の近くにはない大きな遊具や広い芝生で楽し気に遊んでいる子らの声が、青空の下に響いている。

    七海もついさっき、公園に着くまでは同じようにはしゃいでいた。
    片手に砂場で遊ぶための大きなプラスチックのスコップをひきずり、片手では僕の手を握ってはいたけど、早く遊びたくて今にも振り払って駆け出していきそうだったのに。今は、足から根が生えたみたいにびたっと止まって動かない。僕の手をぎゅううと握りしめ、直立不動で、目の前のたくさんの呪霊を視界に入れないようにうつむいている。スコップも力なく地面に置かれてしまった。

    あーあ、ガン萎えじゃん。せっかく朝早くから遠出して、お弁当も持ってきたのになあ。


    「……こわいこわいがいる」

     七海がボソッと口に出す。もちろん僕も気づいてはいた。だって僕だし。
    でもまさかこんなに数が多いとは。ざっと数えても二十体はいる。
    でも何体かは、僕のヤバさに気付いてそそくさと姿を消した。うん、賢明賢明。

     滑り台の上でギャン泣きしている女の子を、母親がスマホを構えてほら 4072