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    七海紗綾

    @minana0730

    とっくの昔に成人済。
    何十年かぶりにお絵描きとか物書きしています。
    どちらも今でも勉強中。

    この世界に私を呼び戻した戻したツイステすごい。(何目線?)

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    七海紗綾

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    ※ラギ監、NRC時代
    ※二度目のラギ誕生日

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    ##ツイステ
    ##ラギ監

    一緒にお風呂に入りたいラギ監シリーズ09ラギー先輩と恋人同士になって、2度目の誕生日。
    去年も何を贈ればいいのか悩んだけれど。
    今年も同じように悩んでいるうちに…ラギー先輩の誕生日がやってきた。

    「ねぇ、みんなだったら誕生日に何が欲しい?」

    エースとデュース、それからグリム。
    いつものメンバーに問いかける。

    「オレはバスケシューズかな。」
    「僕はマジホイの部品が欲しい。」
    「高級ツナ缶がいいんだゾ。」

    うん。なんか…聞く相手を間違えた気がしてきた。
    というかもしかしてこれはねだられている?
    …そんな高価なものは買えないけど。
    私がうーん、とうなっていると。

    「ってか、ラギー先輩ならなんでもいいんじゃね?」
    「なんでもって…。」
    「監督生が渡すものなら、なんでも喜んでくれるんじゃないか?」

    確かに…そうかもしれないけれど。
    せっかくの誕生日なんだから、より喜ばせたいなーって。

    「ドーナツ1年分…とか?」
    「あははっ。嬉しすぎてすぐに食っちまうかもな。」
    「じゃあ…アルバイトを紹介、とか?」
    「それも、すぐに行くだろうな。」

    ラギー先輩の好きなものを挙げてみる。
    んー…なんかしっくりこないんだよなぁ…。

    「そんなの、悩んでたって仕方ねぇ!ラギーに直接聞けばいいんだゾ!」

    親分の心強い(やや投げやりな)言葉を聞いて、それもそうか…と思い。
    私は直接ラギー先輩に聞いてみることにした。



    「あの…お誕生日、何が欲しいですか?」
    「誕生日?んー…そーッスねぇ…。」

    お昼休み。いつもの木陰で一緒にくつろいでいる時に、私は思いきってきいてみた。
    ラギー先輩はしばらく考えこんで。

    「…何でもいいんスか?」

    と、少しいじわるな顔をしてこちらを見る。
    …なんだか嫌な予感がする。
    とはいえ、自分が言い出したことだし。
    それに、好きな人の望みはできるだけ叶えたい。

    「私にできることなら…でお願いします。」
    「むしろ、ユウくんにしかできないこと。お願いしてもいいッスか?」
    「……!はいっ!」

    私にしかできないことってなんだろう?という疑問よりも。
    私にしかできないって頼られたような気がして、元気よく返事をした。
    ラギー先輩がにっこりと笑い、口にしたお願いとは。


    誕生日の夜。
    ユウくんの時間をオレにちょうだい。
    誕生日パーティーが終わったら、オンボロ寮に行くから…待ってて。



    4月18日。
    ラギー先輩の誕生日。

    私は一足先にパーティーを抜け出して、オンボロ寮で待っていた。
    何か物を頼まれたわけではなかった…とはいえ、何も用意しないのも気が引けて。
    今日はもうたくさん食べただろうと思うけど、先輩の好きなドーナツを用意した。
    それから、ちょっとだけ身なりを整えて…。
    そわそわしながら待っていると、しばらくして、扉を叩く音が響いた。

    「はぁ~、ひどい目にあったッス。」

    幸運のプレゼンテンターから、パイをぶつけられたラギー先輩。
    言葉に反して、どこか嬉しそうだ。
    オンボロ寮に入るなりため息をつき、やれやれといった顔で定位置であるソファに座る。

    「あ、今、飲み物用意しますね。」
    「後でいいッスよ。…それより、ユウくん。こっち来て。」

    台所へ向かおうとした私を引き留め、ラギー先輩はこちらに向かって両手を広げてくる。
    私は少しためらったけど、そっと近づいてラギー先輩の前に立つ。
    と、そのまま引き寄せられて。
    気付けばラギー先輩の腕の中だった。
    投げられたパイのものなのか、たくさん置いてあったドーナツのものなのか、はたまたケーキのものなのか。
    ラギー先輩からは甘い匂いがした。

    「ラギー先輩。あらためて…お誕生日、おめでとうございます。」
    「ありがと。」

    今日何度も言ったけど、もう一度あらためてお祝いの言葉を言う。
    ラギー先輩も呆れることなく、笑顔を返してくれる。
    だから、何度でも言いたくなってしまうのだけど。
    と、ふと見えた耳に。

    「ふふっ。クリーム、まだついてますよ?」
    「ん?どこ??」
    「えっと、耳の…。」

    私が耳のところについていますよ、と手を伸ばそうとするとその手を掴まれてしまう。
    もう片方も伸ばしたところで…やっぱり掴まれてしまって。
    …これでは身動きがとれない。

    「ユウくん。とって。」
    「手、離してくれないと…とれないんですけど。」
    「ん。だから…ユウくんの口でとってよ。」

    先輩は器用に耳をぴるぴるっと動かして、私の目の前に持ってくる。
    その様子はすごーくかわいい、のだけど。

    「そ、そんな恥ずかしいこと…!」
    「えー、オレ、今日は誕生日なんスけどぉ~?」
    「それは…そうですけど!」
    「これもユウくんにしかできないこと、でしょ?」
    「…!!!」
    「オレ、お願いがひとつだけ、なんて言ってないッスよ?」

    ラギー先輩はあの時と同じようにいじわるな顔をして笑う。
    確かに、お願いの数を制限した覚えはない。
    ヘリクツとも言えるけど、何も言い返せなくて。
    こうなったらもうラギー先輩のペース。
    私に逃げ場はない。

    「う、動かないでくださいよ。」
    「シシシッ。はーい。」

    再びラギー先輩は私の目の前に耳を持ってくる。
    私はその大きなお耳をじっと見る。
    んんんー!やっぱり…かわいい。
    …なんかこれってもしかして、ドキドキしてるのは私だけで。
    ハイエナである先輩にとっては毛繕い?みたいなものなのかな?
    それなら…恥ずかしがることはない?
    私はよく分からない理由をつけて自分を落ち着け、勇気を出してラギー先輩の耳をぺろっとなめてみた。

    「あまい…。」
    「へぇ。…どれどれ?」
    「え…、んんっ!」

    いつの間にか私の両手を解放し、ラギー先輩との距離がぐっと近づいたなと思った時には…唇が塞がれていて。
    しかも味見をするかのように舌を絡めてくる。
    離れようとしても、しっかりと後頭部を固定されていて。
    私が逃げられないのをいいことに、じっくりと味わうように口内をかきまわす。

    「…オレが食べた時より甘いッスね。」

    しばらくして唇を離すと、自分の唇をぺろっとなめ、ラギー先輩はまたいじわるな顔で笑った。
    再び嫌な予感がしつつもぼーっと見つめていると、ラギー先輩はこつんっと額を合わせて。

    「ね?ユウくんからも、キスして?」

    まるで選択肢などないように、ラギー先輩は私の頭を固定したまま、腰へと手を回してくる。
    ぼんやりとした頭では、正常な判断なんてできるわけもなく。

    「もぅ…今日は特別ですよ?」
    「…その特別。今日が終わるまでは有効ッスよね?」
    「それも…特別です。」
    「シシシッ。ユウくんも言うようになったッスね。」
    「ふふっ。おかげさまで。」

    何だかおかしくなって、お互いに笑い合う。
    今日ぐらいは、たくさんの特別があってもいいかな~なんて思えてくる。

    「ラギー先輩。お誕生日、おめでとうございます。…大好きです。」

    ラギー先輩の瞳を見ながら、私はお祝いとともに自分の気持ちを伝える。
    言葉だけじゃなく、態度でも伝わるように…ゆっくりと唇を重ねた。

    「シシシッ。とびきり特別なプレゼントッスね。」

    次は…

    時計の針が明日を告げるまで、まだ少し時間があるみたい。
    次は何をお願いされるのだろう…なんて。
    本当に今日だけ。特別ですからね?
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