しゃべらねぇで、場地さん…!②「す、すんません……。あの、俺……場地さんに命令されると、身体が勝手にその通りにしちまうみたいで……」
「は……? どういう事だ……?」
「信じらんないっすよね。俺もそうです。でも、さっきから場地さんの言葉通りに、身体が勝手に動いちゃうんです」
そう話す千冬の表情は、とても冗談を言っているようには見えない。
場地はガシガシと頭をかくと、一呼吸置いてから、口を開いた。
「……そこから立って、俺のとこまで来い」
特別難しい事ではない、端的な命令。
けれどその言葉は千冬の身体を支配して、いとも簡単に布団から起き上がらせた。
そしてベッド代わりの押入れから足を下ろし畳の上に立つと、今度は一歩ずつ場地との距離を詰めていく。それが何故だか恥ずかしくて、千冬は顔をうつ向けた。
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