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    ○⚪︎○(ワッカ)

    2次作品保存箱。

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    POIPOI 59

    年末のせいやら仕事から帰って夕餉と風呂を済ませた後に🔥さんぬいを腹の上に置いてその頭を撫でながらぼんやりするなどして忙しいせいか余り時間がなく新作も書く余裕もない為、煉獄兄弟の鬼ごっこシリーズの続きを置いていきます。
    以前公開していたものと少し内容を変えてあります。
    寒い、眠い、時間が欲しい、🔥さんも欲しい、千じゅろも…💥😇外は雪

    胡蝶と鬼退治の狭間先日の話ではありますが俺は兄上が日帰りの任務に出て行く時はいつも手製の弁当を持たせております。兄上は大食漢なので普通の弁当箱では事足りず、紅葉の蒔絵が描かれた三段の重箱におにぎりやら鯛の塩焼きやら甘辛く煮た牛肉やら薩摩芋の甘露煮など兄上の好物をこれでもかと言う位詰め込んで渡しているのですが、ある日、兄上が同じ鬼殺隊の仲間である胡蝶しのぶさんと一緒に任務についた時がありました。鬼殺隊の任務は鬼が出現する宵のうちにあるのですが兄上は人一倍行動力があり鬼を殲滅する力は柱と呼ばれる精鋭達にも見劣らず、周囲の俗人からは精明強幹、一人当千、千軍万馬の強者と称される程ですが日が変わる頃にはえらく体力を消耗して空腹を覚え、更に時間が経過すると飢餓状態に陥って昏倒しかけるのでそれでは兄上がお辛いだろうと正にその時こそ俺が用意した弁当の出番となるのですがその日は丁度しのぶさんと並んで弁当箱を広げる事になった様です。兄上は俺の作った弁当を並べ、片っ端からうまい!うまい!と一口毎に声を上げ、最終的に何回うまい!と言ったのかも謎な位言い過ぎて隣に並んだしのぶさんが落ち着いて弁当を食べる余裕も無く挙げ句の果てにうるさいと言われたそうなのですが問題は其処ではなくその日しのぶさんが広げていた弁当の方にあった訳でして、しのぶさんはとても可愛らしい、正に彼女が持つに相応しい綺麗な蝶の蒔絵が描かれた素晴らしい弁当箱だったのですが何故か中身が、女性らしい一口程度の小さなおにぎり二つは良いとして、蝶の蒔絵にそぐわない主張の激しいでかさの焼き芋が丸々一本詰められていたそうです。しのぶさんはその弁当箱の中身を見て顔を引き攣らせ身体を小刻みに震わせていた様で、きっと年頃の若い娘の弁当箱に彼の逸物を連想させる様なおにぎりと巨大な焼き芋が入っている事が彼女を恥ずかしめているのだと俺は思いましたが兄上はそんなしのぶさんの弁当を一目見て何を言うかと思いきや其れに向かって「かっこいい弁当だな!」と言い放ったそうです。兄上は女子の弁当に堂々とした尺の芋が入っている事に潔さを感じ、純粋に心から褒め称えた言葉だった様でして別にしのぶさんをからかったつもりは毛頭無かったのです。かたや俺特製の重箱弁当、かたや巨大焼き芋弁当、焼き芋弁当はしのぶさんのお姉さんが暇を頂いている葵さんの代わりに作ったもので、きっとにこにこと笑いながら『しのぶちゃんのお弁当こんなで良いかしら?』などと言いながら作っているさまが思い浮かぶのですが本来勝ち気の性格のしのぶさんがその時だけは兄上の放った言葉に傷ついたのか泣き出しそうな顔になり、兄上はそんなしのぶさんを見てぎょっとして、焼き芋の何が気に入らないのだ、などと言ってかえって泣かしてしまい、おろおろしながら重箱のまだ箸をつけてない一つをしのぶさんに差し出してみたりしたのですがこれまた自分の弁当と比較してしまってもう収拾付かずの大泣き半狂乱状態で困り果てた兄上は暫時沈思黙考の末、しのぶさんの両肩を掴むと自分の方に向かせ「俺は芋を堂々と食す女性が好きだ!」と、間違えば告白にも捉えられそうな事を言って泣いていたしのぶさんをきょとんとさせていました。また兄上はそんな言い慣れない発言をした後に自分自身も耳を赤くして余計に勘違いをさせそうな方向に持って行ってしまい、でもそこはしのぶさんの方が勘が良いので、兄上が自分を慰める為に言ったのだ、と理解すると耳の赤い兄上を見てくすくすと笑い出しました。しのぶさんは膝に乗せた自分の弁当を持ち上げると焼き芋を手に取って半分に割ってから兄上に差し出し、「一緒に食べてくれませんか?」と言いました。兄上はしのぶさんが差し出した芋を「頂こう!」と言って受け取ると今度は「わっしょい!」を連発しながら食べ始めました。芋は少し変な味がしたみたいですが兄上は芋のえぐみか何かだと思ってそのまま食べてしまった様で、しのぶさんはそんな兄上を見て、「私は煉獄さんの様に堂々と食べるのはやっぱり抵抗がありますが…、でも誰かとこうやって食べるのもいいですね。」と、芋を一口だけ齧り幸せそうな顔をしていました。兄上は横目でほわほわと幸せな表情を浮かべているしのぶさんを見て、「芋は世界平和だ!」と訳の分からないことを言って本人もまた何を言っているのかよくわからないまま誇らしげに笑うと今度こそ重箱の一つを芋のお礼という形でしのぶさんに渡し、残った弁当をまたうまいうまいと言いながら早急に片付けて最後に胸元で静かに合掌すると悪鬼滅殺しに宵の闇の中へ神風の勢いで向かって行ってしまいました。芋に変な薬でも入っていたのでは、と内心思いましたが朝方兄上は無事に帰ってきて風呂で汗を流すとすやすやと気持ち良さそうに布団で寝息を立てていて、時折芋の夢でも見ているのか突然わっしょい!と大声で言うので驚愕させられるのですが余りにも幸せそうな表情をしているのでそっと寝かせておきました。俺が弁当箱を洗おうと蓋を開けると完食された中に綺麗な字でお礼の言葉と俺の弁当を褒めてくださった文が書かれた蝶の絵のついた紙が入っていて少し幸せな気持ちになりました。
    その後、しのぶさんは実験室の鉢に植えてあった芋が一つ消えているのを見て驚愕し、慌てて残った芋を廃棄処分するとお姉さんに二度と自分の弁当を作らせなかったのは言うまでもありません。
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