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    前からネタとコンビ。チョコプラちゃん資料なさすぎて口調全部妄想。
    気になったら公式キャラ紹介(https://p.eagate.573.jp/game/sdvx/vi/chara/index.html)見てね。ついでにゲーセン行ってゲームしてね。頼む。

    被害者は駆けずり回る「ボク、ちょっと警戒心が足りないかも」
     マグカップの縁に手を顎を掛けた妖精はそう呟いて嘆息した。
    「いや、話が見えないんだけど。いきなりどうした――」
     の、と問いを言い切る前に、凄まじい音をたてて技術準備室の扉が開け放たれる。突如響いた騒音に識苑はびくりと肩を跳ねさせた。
    「先生! チョコプラちゃん来なかった」
     扉を開け放った生徒たちは語気荒く問う。その目は真剣そのもので、己の手の内にいる妖精を強く探し求めていることが一目で分かった。
    「え? あぁ、あの子なら――」
     視線を下げ、手にしたマグの湖面へと視線をやる。水面から顔を出した少女は、慌てた様子で口元に人差し指を当てていた。お願い、黙っていて、と眼鏡の奥から覗く瞳は必死に語っていた。
    「――さっきまでいたんだけど、またどっかいっちゃったみたい」
    「そっか! ありがと!」
     いないことを証明するように、口元にマグを当て飲むふりをしながら青年は返す。教師の言葉を信じ切った生徒たちは再び勢い良く扉を閉め、盛大な足音を立てて廊下を駆けていった。
    「……行ったけど」
    「ありがと」
     ふぅ、と『チョコプラちゃん』の愛称で親しまれる妖精は疲れ切った様子で息を吐く。こころなしか、溶けて人としての形を崩しているように見えた。
    「何かしたの?」
    「何もしてないよ。あの子たちが勝手にテストの問題全部知ってるだろ、なんて言って追い回してくるだけ」
     識苑の問いに妖精はむくれた様子で返す。そういえばそんな噂があったな、と青年はマグの縁に手を掛け伸びをする少女を眺めながら思い返した。
     チョコプラちゃんと呼ばれるこの妖精は、カップの中を気ままに転々として日々を過ごしている。それは生徒間でも有名な話である。そして、学園内で中身の入ったカップが一番多いのは職員室だ。職員室に自由に入ることができる――つまり、テストの問題を盗み見ることなど造作無い、と誰が最初に言い出したのだろう。広がる憶測に生徒たちは噂するのだ。チョコプラちゃんはテストの問題全部知ってる、と。
    「……見てないよね?」
    「見ないよ、興味無いし。それに見たって全部覚えるなんて無理でしょ?」
     訝しげにカップの中身を眺める識苑に、妖精は頬を膨らませる。彼女の言う通りだ。つまり、噂は噂でしかない。
    「テスト前だしもうちょっと警戒するべきだったなー。いつも通りカップに入ってたらいきなり捕まえられそうになったから驚いたよ」
     はぁ、と白い妖精は今日何度目かの溜め息を吐く。しつこく追いかけ回されいつも以上に容器の中を移動してきたのだろう、湖面に沈みぷくぷくと泡を吐く姿は疲弊したものだ。
    「先生、匿ってくれてありがとね」
    「いいよ、これぐらい」
     薄い笑みを浮かべ、妖精は礼の言葉を口にする。教師はひらひらと手を振って応えた。カップの中身を隠すぐらい、感謝されるほどのことではない。
     じゃあまたね、と手を振り、白い体躯が黒い水面へと沈み行く。ぽちゃん、と小さな音が静けさを取り戻した技術準備室に落ちた。どうやら彼女はどこかへ帰ったようだ。
     騒々しさが過ぎ去り、識苑はふぅと息をこぼす。改めて飲みかけのマグを口元に運んだ。
    「…………あ」
     コーヒーを口に含もうとした瞬間、青年は声を漏らす。このマグにはつい先ほどまでチョコプラちゃんが入っていた。そして、彼女が入ったマグカップの中身は必ず甘く染め上げられるのだ。
     あぁ、どうしよう。眠気を消し飛ばすような濃いブラックを好む男は、苦々しく目を細めマグの中身を見る。もう全てが遅すぎた。
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