黒い天使のみつけかた「なんや、片翼やんけ」
輝くステージ上で震える"それ"を見て、ウルフウッドはぽつりとつぶやいた。傍らの豪奢な椅子にどっかりと座っていた男が喉を鳴らして笑う。
「欠陥品でも、『有翼種』は高く売れる。むしろここまで五体満足なのは希少なもんだ」
そんなもんか──男の下卑た言葉を聞きながら、ウルフウッドは周囲を見やった。己の仕事であるところの"用心棒"らしく警戒するように、あるいはなんの興味もないかのように。
とあるホテルの、華やかなシャンデリアが下りるホールには、傍らの男──ウルフウッドの雇い主のような金持ちがひしめきあっていた。誰もがスーツやドレスを着こなし、屈強そうなボディガードを連れていた。誰もが例外なく権力や金を持て余し、同時に人でなしなのだった。ここはそんな彼らの欲求を叶える、いわゆる裏オークション会場だ。非合法かつ表の世界には知られることのない商品が、ここでは平然と売り買いされる。
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