夢のような夜だった。
何度も、自身の液晶を叩くものの痛覚はちゃんと感じる。配線も基盤もイカれていない。
かつては毎晩のように来ていたとある会員制の高級バー。7年間寄り付きもしなかった場所にほんの気の迷いで入店したところ、このバーに通うのをやめた諸悪の根源がいた。
アラスターがカウンターで気持ちよさそうに酔っ払っているところを見た瞬間、思わず自身のメイン回路が正常であるか確認した。
『あ〜メンヘラヴォックスくんじゃないですか〜突っ立って粗大ゴミになってないで、早く注文したらどうです〜?』
ケラケラ笑うものだから、売り文句に買い文句。
「…はっ!とうに酔い潰れて醜態晒している産業廃棄物に粗大ゴミ扱いされるとはな!」
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