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    #白蛇FA
    whiteSnakeFa

    【じゃない世界線if】「や、やめてくれ…!死にたくない!」
    「…」
    「死にたく」
    パァンッ
    部屋に響く銃声
    もう聞き飽きた台詞に嫌気がさす
    何十回、何百回も聞いた命乞いの台詞はまるでロボットか何かなのかと疑う程に全員同じだった。
    初めて人を殺した時もそうだ
    あれはいつの事だっただろう、もう何年も前の話__
    「やめろ水樹…、俺達はお前の親だぞ…!」
    「そ、そうよ!貴方の大切な家族でしょう?!」
    「…大切な、家族?」
    「そうだ!!その家族を殺すなんてあってはならない!」
    「……黙れよ」
    大切な家族、その言葉に吐き気すら覚えるくらいの嫌悪感を抱いた
    「やめろ、し、死にたくない!」
    「黙れって言ってんだろ」
    机に置いてあった果物ナイフで父親の首を掻っ切った。面倒くさくなった俺は怯えた視線を向ける母親の心臓にその果物ナイフを突き刺して殺した。
    __あの時初めて人を殺した
    思っていたより何も感じなかったんだよな
    そういえばアイツらは最後まで俺の名前を呼ばなかったな……ま、どうでもいいけど
    とまぁ、思い出話はここまでにして家に帰ろうか。アイツが待ってるし

    ____________________

    「ただいま」
    「…」
    「…要?」
    家に戻れば、窓から外を眺めてる要が居た
    けどいつもの様に「おかえり」と言う声が聞こえなかった
    俺に気付いていないのか、はたまた気付いた上で無視しているのかはわからない
    近づいて肩に手を置けばゆっくりと此方に振り向いた
    「…あぁ、おかえり」
    「窓の外に何かあった?」
    「別に。」
    「…そっか」
    俺の従兄弟でもあり白蛇時代の仲間でもある白夜要
    …突然白蛇を抜けたあの日から再開するまでの間コイツに起こったことは余りにも酷いものだった
    俺も中々に酷い人生だけど、自分で決めて進んだ道だし今では落ち着いてる為そこまで自分が不幸だとは思ってない。
    でもコイツは違う、自分で望んだ人生じゃないはずだ
    幸せになることだってできたのに
    「ごめん、ごめんな要…」
    「…水樹、くん?」
    「俺があの時止めてれば、お前の親に話つけてれば…何か変わってたかもしれないのに、俺は…」
    「…」
    「俺は…お前の決めたことなら、って…何も疑わなかった…。白蛇に入って楽しそうに過ごしてたお前を知ってたのに、何の疑問も持たなかったんだ…」
    「っ、」
    「俺、お前のことなんもわかってねえんだよな…」
    お前を見る度に、あの日の事を思い出しては後悔してる
    あの日…いや、あの頃に戻れたらなんて何度願っただろう、もう手遅れなのに。
    俺はもう人を殺す事でしか生きていけない人間、要だって親を殺した逃亡者だ、他の元白蛇の奴らだって普通には過ごしていないだろうし、なんなら生死だってわからない。
    どこで間違えたんだろうな…俺たち
    「…俺は、例えお前が笑えなくても…何も感じられなくても傍に居るから。俺だけはずっとお前の味方でいさせてくれ…」
    思わず涙が出そうになるがグッと堪えて、無理やり笑顔を作る
    俺の涙なんて、とっくの昔に枯れ果てたと思ってた
    でもやっぱりコイツの、コイツらの事考えると自然と出てきてしまう
    「……ねえ、水樹くん」
    「!なんだ?」
    「お願いが…あるんだ、」
    「なんでも言ってくれ、!お前のためなら…」
    そう、何でも叶えてやる
    それが俺がお前にできる唯一の事だから_

    「…僕の事、殺して?」

    「…え」
    「もう疲れちゃったんだ」
    「ま、まってよ…」
    「だから僕のこと」
    「なぁ、要…」
    「殺してくれないかな」
    「ッ、待てって!!」
    ガッと肩を掴んだ
    そんな事言うのやめてくれ、お願いだから
    肩を掴む手にこれでもかと言う程力が入る。
    「…なに?」
    「絶対嫌だからな、お前を殺すなんて」
    「…依頼」
    「は?」
    「依頼されたら、どんな相手でも殺すんでしょ?」
    「お前、まさか…」
    「…殺し屋の水樹に依頼する」
    「嫌だやめろ」
    「白夜要を殺して」
    「なんでだよ!!!!」
    前にコイツに言ったことがあった。
    俺は依頼されたら誰であろうと殺す、それが例え元白蛇の奴でも…って
    だから仮にそんな依頼が来た時は止めても無駄だからなと言う意思表示のつもりだった
    まさかこんな事になるなんて
    「お前だけは殺せないッ、殺したくない!」
    「…お願い」
    涙で目の前がよく見えないけど、昔と変わらない目をした要の顔だけは何故かよく見えた
    なんで今そんな目をするんだ
    やめろ
    やめろよ…
    「……ックソが!!」
    この場に似合わない様な台詞を叫びながら懐にしまっていた拳銃を取り出し、要の額に押し付けそのまま床に押し倒して上に跨る
    自分の手が震えているのが見てわかった
    殺したくないお前の従兄弟の柊水樹と、殺し屋として依頼されたら殺さなければならない柊水樹
    頭の中でずっとグルグルしてる
    「っほんとに、殺すぞ」
    「うん」
    「ほんとにっ…!」
    「…僕の人生、楽しかったのは白蛇の皆といた時だけだった」
    「っ…」
    「ありがとう、水樹くん。皆と巡り合わせてくれて」
    「っ、わかったよ…」
    「来世でも皆と会えるといいな」
    「…うん、」
    「……僕の分まで生きてね、ばいばい」
    「っあぁ、じゃあな、要」
    昔の様な笑顔で別れを告げるお前に、俺も精一杯の笑顔で返す
    涙は止まらないけどちゃんと笑えてるといいな
    パァンッ

    あーあ、また俺は独りぼっちか。
    そんな事を思いながらアイツがさっきまで眺めていた窓の外を見る
    「…今日は夜空が綺麗だな」


    神様

    願わくば

    俺が全部の罪を被るから

    アイツが天国に行けますように。
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