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    kichimutimu

    @kichimutimu

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     にじさんじEN🐑にはまった物書き。基本的に右置き。がっつりエロは希。私の小説は基本『心がしんどい』。

    好きなship 🔮🐑・👹🐑・🎭🐑etc……

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    kichimutimu

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    🎧🎶+🐑の健全ネタ(只し、洗脳アリ)

     ※N家同居設定

    NOIDEEZ おれの名前はユーゴ遊間。未来からきたDJ、そしてNoctixと言うグループの配信者だ。

     バンッ
     二階の私室の窓を閉めてから、急いでシャッターを降ろす。元々音響設備を使っているから、こうすれば音が漏れることはないんだが。
     なんで、why どうして、こうなったんだー!?

    「Please.オネガイシマス」
    「ウソだろぉぉぉ!?」

     おれは傍らの彼を無視して頭を抱えた。


     そう、事の発端は、新しい作曲がどうも思った調子にいかなくて、同居人の彼を部屋に呼んで相談してもらった時だ。
     
    「悪いねふーちゃん、今日オフだったろ?」
    「別に構わんさ。お前の新曲を誰よりも先に聴けるんだ」
     ふーちゃん。それはおれが最初に付けたあだ名で、本当の名前はFulgur Ovid。俺にとっては、保護者のようで頼れる兄貴分? いやマミー?
     と、取り敢えず何かあったら誰の相談役にもなっている優しい仲間だ。

    「このフォルダーのこれか?」
    「そうそうソレ」
     耳にかかる銀髪をふーちゃんは払って俺の椅子を借りながら、ヘッドフォンを耳に装着する。そう、今になって考えりゃこれが悪かった。
     おれは新曲の一応の完成に喜んで油断して、モニターの確認すらせず彼の言葉に応えてしまった。

    「今回はさ、テクノ調子を目指してんだけどさぁ。どーも音が固いんだよね。ふーちゃんってさ、昔バーテンダーやってたんだろ? だからさ、この手の音楽は慣れてんじゃねぇかなって」
     返事は返ってこない。おそらく、音楽に聞き入ってくれてんだろう。そう思ったおれは、部屋の空気を入れ替えるように窓を開ける。
     若干徹夜した為に、青空の眩しさに声をあげつつもこの後ふーちゃんに何を奢ろうか、なんて暢気に考えていた。

     ガチャン
     
     そう、ヘッドフォンがカーペットに落ちてそれを装着していたふーちゃんが床に倒れているのを確認するまでは……

    「ふーちゃん!?」
     おれは慌てて彼に駆け寄った。何だ、気分でも悪くなったのか?
     おれの音楽器材をふーちゃんならあんな、ぞんざいな扱いはしない。なら、余程のことが彼にあった筈だとおれは考えた。

    「…………」
     おれはしゃがんでふーちゃんの顔を覗き込む。足を投げ出して、両手をついた姿勢のまま、近付いてきたおれへ顔を向ける。
     顔色が青白かったりはしてないな。いや、寧ろ若干赤いよな? ってか、呼吸も荒い。
     そのわりには、苦しくはなさそうだし。

    「ふーちゃん、大丈夫か?」
     兎に角、誰か他のメンバーに連絡する必要がありそうだ。ふーちゃんを運ぶなら、Sonny辺りが最適だろうか。
    「ハイ……御主人サマ…」

     ピシッ
     ……what
     そんなおれの思考を遮るには、その台詞はあんまりに充分だったわけだ。良く見りゃ、惚けたように顔はとろーんとしてるし、人工の灰色の瞳に光がないような……んん!?

    「まさか、まさか、まさか!?」
     おれは急いでPCのモニターを見つめる、そしておれの嫌な予感は当たっちまった……
    「OMG」
     ふーちゃんは聴くデータを間違えていた。なんで、よりによって昔作った『洗脳』BGMなんて聴いてんだよ!?
     あ、一応おれの名誉の為にいっておくぞ。これは過去、いや未来か必要となるから作ったサンプルなんだ。決して、そう言う目的で作ったもんじゃねぇ!
     ってか、これわざわざ圧縮しておいたのにわざわざ解凍して聴いたのか、ふーちゃん……

     だめだ、こんな彼を誰にも見せられない。まして、Ukiに見つかったら……悪寒を覚えてその思いからドアに鍵を閉め、窓のシャッター閉じて、今に至るってわけ。

     落ち着けおれ、今、ふーちゃんはあの曲のせいで、おれの言うことを何でも聞くし、何でも応える、俗に言うやっべー状態なワケだ。
     で、今、何かをおれは、御主人様として、ふーちゃんからおねだりされてるっつー………あー、ヤベ顔真っ赤になってきた。

     『あの』ふーちゃんだぞ。被虐癖持ちでナイフを×××とか、腕を×××とか、あげくには××××を××で、とか、そんな願望持ちの相手なんて、おれが出来るわけがないだろぉー!!
     けど、今もふーちゃんはおねがいって、目を潤ませた仔犬みたいな様相で。
     昔日本にこんなCMあったよなぁ、どうするおれ。いや、どうもしねぇけど!!

    「ah ふーちゃんはおれに何して欲しいんだ」
    「抱っこ……シテクダサイ」
    「ハ? 抱っこ、ってあの抱っこか。な、なんで?」
     
     予想外の懇願に、思わず疑問を口にしてしまった。やっべ、と思わず自分の口を塞いだ。
     今おれが、余計な口を開いたらふーちゃんは言いたくなくても言うことになっちまうのに。

    「普段の俺じゃ……言え、ないから」
     
     たどたどしい言葉を紡ぐふーちゃん。おれは音楽やってるから、耳はそれなりに良い。だからこの言葉が、彼がどういう意図で紡いでいるかもわかっちまう。
     洗脳されてもなお、答えを拒絶しようとしてる。けど、それはふーちゃんの矜持から来るものじゃない。
     おれじゃ言葉には言い表せねぇけどもっと、やわらかく脆い何かだ。

    「俺、おじさんだし。御主人サマみたいに愛らしくは振る舞えないから……」
    「……続けろ」
    「ヒトに甘えたい、けど、こわい。俺みたいなおじさんが、そんなこと言ったら絶対引かれる」
     
     おれは茶化すこともなく、ふーちゃんの話を聞いた。彼を少しずつ壊している、そんな罪悪感がないワケじゃない。けど、それ以上に普段頼りにしている男の、見たこともない表情は何かから解放されているみたいで、少しおれも嬉しい。

    「前は平気だったんだ。期待なんかしてなかった……けど、ここにENに来てからだ。余計な……俺が願ってはいけない願望ばっかり膨らむ……だから」

    「Silence」

     おれのその一言でふーちゃんは肩を跳ねさせながら口を閉じた。おれは大きなため息を吐きながらベッドへと歩いて、シーツをめくり、そこに腰を下ろした。

    「良いぜ、ふーちゃん。今だけおれの犬にしてやるよ……おいで」
    「はい、御主人サマ!」
     
     普段より低めのトーンの声量を使い、両手を突きだして出迎えてやれば、彼は喜んでおれの胸元まで顔を埋めて来た。彼の髪が腹に触れてちょっとこそばゆい。
     背中に手を回して、がっちりとふーちゃんを引き寄せた。そっか、いつも後を追いかけてた背中だったけど、実際の幅はこんなに狭くて小さかったんだな。

     すると、今度はおれの腰におずおすとふーちゃんが腕を回してきた。彼の機械で出来た腕の冷たさと、感触がしっかり残る。普段なら腕を気にして、こんなに密着させてくることはないんだ。
     どうか、ふーちゃんに少しでもおれの体温が移ってくれてると良いな、なんて考えちまう。

    「おれがもっとでかけりゃ、望み通り抱えてやれんだけどな」
     けど、ふーちゃんはそれで満足したのか目を瞑って、それきり言葉を口にしなくなった。いーや、この場合口にする必要がなくなった、のが正しいのか。

     おれは彼へ目線を緩く移しながら、指の腹を使い、優しく流れに逆らわず髪を撫でてやる。シャッター越しに僅かに漏れる日光の光が髪に波打つ。予想してたより、髪質がやわらけぇな、ホントに犬のブラッシングでもしてる気分になってくる。
     ふーちゃんもそれが嫌じゃないみたいで、そのままの姿勢を維持してくれている。


     けど……そっか、おれはbabyなんて、子供扱いされんの嫌気がするけど。時間が経てば、経つほど、それすらもなくなって行くんだな。おれは寧ろそれを望んでるが。
     配信で撫でるスタンプ嫌がったら、おもっくそリスナーから目潰しスタンプされたんだが。あれも一種の愛情表現だったんだろう。
     あいつらもまた、こう言う風にされない大人になったから、せめておれには、なんて思ったのかも知れない……まぁ、余計なお世話だ。
     おれはふーちゃんとは違うけど、もうちょっと歳行ったら、おれも寂しいなんて風に考えんのかな?

     なんつー、か。この考え方がガキじゃね?
     そんな考えを振りほどきたくて、そういやあの曲何で、ボツにしたんだっけ、とかふーちゃんの髪に手櫛をかけながら思考した。
     ああ、確か、アンドロイドの自白用に作ったんだけど、効果は抜群だったけど持続時間が短くて実用には向かねぇからだったっけ。

    「……Wait」
     アレ、ならもう効果切れてね。
     と気付けばふーちゃんが行き場をなくして、身体を震わせて顔を完璧におれから隠してんのがわかった。やべー……

    「Y、Yugo……もう離しても良いぞ」
    「うわぁぁぁぁあ! ふーちゃんゴメン!!」
     
     両手を離してやれば、バツ悪くふーちゃんはおれから離れて視線を反らして傍らに座る。
    「すまん、心地よ過ぎる曲で何かがヤバイと感じてヘッドフォン外そうとしたが、その瞬間真っ暗な場所に落とされて……それからもう、抗えなくて」

     ああ『彼方』に行ってたら、そりゃにげらんないはずだよな。
    「やっぱ……記憶残ってるよな」
    「ああ」
     だよなー、そうなるように作ったのおれだもん。
    「けど、この曲アンドロイドにしか効かない筈なんだぜ」
    「俺の体内、特に神経系統には機器がいくつもあるんだ」
    「あー道理で…………な」
     
     か、会話が続かねぇーー!! いや、そりゃそうだよな。爆弾発言した相手にそもそも、合わせる顔なんてふーちゃんにあるわけない。それに、相手が最年少のおれじゃ更に立つ瀬はねぇだろうな。

    「悪いな、Yugo。一旦外の空気吸ってくる。曲はその後に聴かせてくれ」
     
     ベッドから立ち上がったふーちゃんは、一度として俺を見ることなくドアの近くに行っちまった。やっぱり、聞いて欲しくなかったよな。彼に悪いことをした、そう側頭部を引っ掻いていれば、彼は最後にこうおれに告げた。

    「Yugo…もし……もしもだ、お前がいやじゃないなら、また……頼む」

     WHAT
     とても小さくて、意を決しつつも震えたふーちゃんの声が届いて、彼の方を向き直れば、これまでに無いほどに彼の耳が真っ赤になっていたのをおれは確認しちまった。そして、扉が閉まるとおれはベッドに大の字になりながら足を投げ出した。

     Oh shit……
     
     仕方ねぇな、もう少し持続性上がるように調整してやるか。
     あの『puppy』の為に……


     END.
     
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