かわいい子達に祝福を足の開く限りの大股で階段をかけ上る。
服は上手く着られていないから、ところどころシャツがズボンからはみ出ているがそれどころではない。
普段身体をよく動かす方でもないのに、その時のファルガーは走れメロスもかくやという姿で駅構内をかけて行った。
もっとも、その即席で作られたメロスは目の前で電車を見送るという寂しすぎる別れを遂げたわけだが。
「あぁクソ!!ほんっとうにクソだ!!」
勇者は、ひどく罵った。
ファルガーのバイト先は自宅から電車で1本、30分弱の駅構内にある書店。
高校へと向かう電車の乗り換え地点でもあるために帰りに寄りやすいだろうとそこに決めた。
つまりバイト先から家に帰るためには電車しか移動手段はない。
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