ファーユナ/Zero この辺りでは珍しい明るい色の髪が、夕焼けに照らされてきらきらと輝いている。
侍に出くわさないよう黄昏時を狙って浜辺へ向かうと、そこには既に先客がいた。
ぼろぼろの服を着て、波打ち際で膝を抱えている女の子。
見慣れない姿を眺めていたら、その子がボクのいる方を向こうとしたので、とっさにサーフボードの後ろに隠れてこっそりと様子をうかがう。
顔は陰になっているせいでよく見えないけど、目元の辺りに光る粒が見える。
光の粒はすっと顔を伝い落ちて、砂浜へ染み込んでいった。
(……泣いてる?)
こちらを振り返った彼女は、別にボクの存在に気付いたというわけではないらしい。
また海の方へと向き直り、膝に顔を埋めた。
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