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    melisieFF14

    @melisieFF14

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    melisieFF14

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    一口だけでも酒を飲んだら気絶、吐く自機がライン越えしたら。
    よその子お借りしました。

    酒は飲むものでぶっかけるものではない「今回の依頼は終わり!お疲れ様!」

    「疲れた〜!」と言いながら、ララフェル族の冒険者──オギが勢いよく座り込む。懐から取り出した依頼書と周囲を見比べていたヴィエラ族の青年──メリジが少し離れたところでオギと、ミコッテ族の青年──レオの二人に成果を告げる。

    「これだけ捌いたんだ。一帯の魔物たちもしばらくは大丈夫だろう」
    「……まだ戦い足りないけどな」

    愛用の双剣に付いた血を拭うも、レオは物足りなさが解消出来ないことが不満なのか、武器を納めることはしないままだった。一方依頼書を再び懐にしまったメリジは、刀に付着した血を水のエーテルで器用に洗い流していた。刀を振って水気を飛ばし、大して汚れなかった衣服で拭えなかった水分を取る。そうしてレオのやる気とは裏腹に、大の字になって駄々をこねるオギを横目に、彼の愛武器でもある矢の回収を行う。

    「ボクはこんなとこより、早くカワイイ女の子たちのいる店に行きたい!」
    「む……」
    「オギ先生がそう言ってることだし、今日はもう無理せず引き上げよう」
    「メリジくんの言う通り〜!」

    真っ先に諦めたメリジがレオの説得に入ると、オギがすかさず乗ってくる。こうなってはどうしようもない。はぁ、とため息を吐きながら、レオもようやく戦闘態勢を解いた。



    「うひょー!今日はかわい子ちゃんがいっぱいだ〜!」

    ひょんなことからパーティを組むことになった3人がいつも通り仕事終わりの行きつけでもある酒場に出向くと、今日はいつもよりオギのお眼鏡に適う女性たちがいたようだ。入った瞬間、誰よりも早くいつもの席に向かい、そうして誰よりも店内を見渡せる最奥の席に座った。ニコニコと嬉しそうに近くにいたウェイトレスの女性に、これまたいつもの飲み物を頼む。それを見ながら、レオとメリジはゆっくりと店内を縦断してオギの元へ向かう。

    「二人の分もボクがちゃーんと頼んでおいてあげたよ」
    「そりゃ助かるわ」
    「ありがとうな」
    「飲み物お待たせしましたー!」

    そうして各々が席に着いた瞬間を見計らってか、タイミングよく飲み物を持って来たウェイトレスの女性から全て手渡しでオギが受け取る。いそいそとメニュー表を見始めたメリジとはよそに、レオはしっかりと見ていた。オギが受け取る際に女性の手にそっと触れていたことを。セクハラである。このエロオヤジめ。毎度のことなのでレオは口を噤むが、相手も分かっているのだろう。困り顔の女性を開放すべく、オギの座る椅子の足を軽く小突いた。

    「ちょっとォ!?」
    「どうかしたか?もう何食べるのか決めたか?」
    「あぁ、いつもの魚料理よろしく」
    「はいよ。……お姉さん、注文いい?」
    「どうぞ!」
    「ぐぬぬ……!」

    いつもの酒場、いつもの席。仕事終わりにこうしてやって来て、オギが綺麗なお姉さん目当てにちょっかいを出すのも、レオがそれを当人だけにしか分からないように咎めるのも、まったく何も知らないで食事を楽しみにしているメリジも。いつも通りの風景。冒険者でありながら三人とも気ままに日々を過ごし、こうしてたまに会えば即席のパーティを組んで一日の終わりに食卓を囲んで、良い気分で明日を迎える。


    ──はずだった。
    ああでもない、こうでもないと互いに茶々を入れながらも、三人は互いの近況について酒を交わし、食事に舌鼓を打ちつつそれらをささやかな宴の主演としていた。オギもレオも酒には強い方だったが、それなりに飲んだこともあってほろ酔いのような気分の良さに浸る。そんな中、オギがまたウェイトレスの女性と楽しくお喋りをする様をレオが呆れながら見ていた時だった。紫がかった黒毛の耳がピクリと反応を示す。レオの後ろの方でエールの入った容器を乱暴に叩き付ける音が聞こえた。

    「テメェ!!俺様に向かって舐めた口利きやがったな!?」
    「なんだぁ?やるってのか?上等だァ!!」

    罵声に一時店内が静まるも、ヒートアップした大柄なルガディン族の男性二人には何も感じ取れないらしい。同じく不穏な気配を察知したオギがさり気なく女性に離れるよう促して見送ると、呆れた顔でルガディン族の男性二人を警戒し始めた。メリジはこの状況下でも気にせず食べている辺り、肝の座り方がズレている気がするな、とレオは密かに考えていた。

    「まったく、美味い酒と可愛い女の子のいるところでやらなくとも……」
    「後者はともかく、前者に関しては同意だ」
    「二人とも、この魚料理すごく美味しいぞ!」
    「呑気か」
    「まぁまぁ、こういうのは流れに身を──あだぁ!?」

    その時、何かがオギの頭に飛んできた。どうやら例の二人組による喧嘩で食器が飛んできたらしい。ぶつかった拍子に手に持ってたグラスが傾き、それは運悪くもメリジの顔に掛かってしまった。割と高い度数のアルコールだった為か口にでも入ったようで、一瞬で気絶するメリジはテーブルに突っ伏してしまう。

    「オジ……ッ!!」
    「ボク!?ボクのせいなの!?」

    額に手を添えつつ、オギの頭の中で思い浮かんだのは物凄い形相で彼に警告をしてきた時のメリジの顔である。正直小便チビるかと思った。めちゃくちゃ怖かったのである。その時はほんの出来心で酒を一切飲まないメリジがどうなるのか見たくてグラスを入れ替えたイタズラが原因だったが、今回は不慮の事故のはずだ。だってそうだろう。店のど真ん中で取っ組み合いの喧嘩をしている馬鹿二人が悪いはずなのだ。

    「とにかくこうなったらメリジを宿屋に……」

    レオが仕方ないと言わんばかりにメリジへと目を向けた時だった。ドン、という音が近くから響く。見ればテーブルに突っ伏したままのメリジの手には愛用の刀が握られていた。どうやら顔を伏せたまま、テーブルに掛けていた刀を手にして床に叩きつけたようだった。顔を伏せたままゆらりと立ち上がる。オギはそれを見て、酒を掛けられた事に怒ったのだと思い、すぐに弁明の言葉を彼に掛ける。

    「メ、メリジ!違う!ボクじゃない!!」
    「いやオジ、様子が変だぞ」
    「こんな時でもオジって言うな!って、え!?」

    オギにもレオにも眼中にはない様子で、ふらふらとした足取りで向かう先へと二人が視線を辿れば、そこは渦中のルガディン族の男性二名様。

    「あんたら、随分と楽しそうじゃあないか……俺も一緒に混ぜてくれ──よッ!!」

    鞘から刀身は抜かずとも、叩き付けられたそれによってテーブルは真っ二つに折れ、向かい合って取っ組み合いをしていた二人がギョッとした顔でメリジを見る。

    「「ウワーーーーーッ!!」」

    背中しか見えないオギとレオは彼がどういう顔をしているのか分からないが、ルガディン族の男性二人の反応を見るに察した。あの時の鬼気迫る顔をしているに違いない。思い出してしまったオギは恐怖に取り憑かれ──

    「行けーッ!やっちまえー!!」

    ていなかった。自分に向けられていないと分かった瞬間これである。呆れた。遠い席だったというのに、職業柄よく通るその声はきちんとメリジの耳に届いていた。

    「や、やんのかゴルァ!?」
    「あれだけ騒いでたんだ。相当腕が立つんだろうな?」
    「ギャーッ!!」
    「こいつ刀で床の板までぶち壊しやがった!」
    「なんだこのゴリラ!!」
    「いけー!やっちまえー!」

    そこからは片方へ顎、片方には肋と鞘で突き刺して動きを制しつつ、ついには刀を置いて殴り合いの乱闘になった。そしてオギがバトルボイスでさらに囃し立てていることにも気付く。わざわざスキルを使ってやらなくとも。バフの掛かったメリジはふらふらになりながら二人の攻撃をかわし、積極的に急所を狙っていく。本来ならこういった喧嘩は放っておくような男である。それが今や自分から向かっていってその喧嘩を楽しんでいる始末。この分だとすぐに終わるだろう……あぁいや、既に決着がついたようだ。ルガディン族の男性二名はボコボコにされて気絶し、そして彼もまた事切れたように続いて倒れた。

    「いや〜良いものを見た」
    「何が良いもんか、全く」

    レオは叩き壊されたテーブルやフローリングの床、グラスや食器類の弁償代は絶対こいつに支払わせようと固く決意し、メリジの身体を引き摺った。
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    Replies from the creator

    melisieFF14

    DONE両片想いのすれ違いもだもだしてる付き合う前のメリレオ。
    Hit on恋焦がれるようにその身体に触れたい、声を自分にだけ聴かせてほしいと、その目に映るのは自分だけでありたいと願うことをやめられないまま、紫混じりの黒髪と赤紫の気の強そうな眼差しをいつも追い求めている。それは仲間に対して向けることを到底許される感情ではないことを理解していて、当人には察知されないように気を張るようになっていた。
    であればその欲望の捌け口はどこへ行くのかと言えば、恋う人と似た容姿の女へと向けていた。とはいえ共通点など黒髪だけだとか、目元や表情が似ているからなど、部位のみ投影して後は補完し、何も知らない女たちへ欲を吐き出していた。声ばかりはどうしても違い過ぎるので、春を売る女たちに声は出さなくて良いと伝えていたが何やら勝手に盛り上がられて喘がれることもしばしば。聴きたくもない声音を情事の最中に手で塞ぐのはナンセンスだったので唇で塞ぐことが多かったのがメリジにとっては煩わしかった。欲の捌け口でしかないから相手を思いやる気持ちなど一切なく、ただの性欲処理の行為に快楽などある訳もなかろうに。実際メリジには性感による気持ち良さなどなかった為、彼女たちに対して情を持ち合わせることもなければ穴としか見ていなかったことも事実だ。
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