なけなしの星 次の指令は、現在単独行動をしている柱と合流の上で現地へ向かえ、というものだった。この辺りで待機するように命じられている。俺は相棒とも呼べる白蛇の鏑丸と共に、薄雲に霞むふくよかな月を眺めていた。鎮守の森の片隅で、神木ではないらしい松の立派な枝に腰掛けている。俺は人付き合いの上手い方ではない。誰かと共同で動くより、ひとりきりで鬼を狩る機会が多かった。寂しいとも思わないが、意外ではあったのだ。俺は階級も乙となり、これまで一定以上の場数を踏んでいる。鬼殺隊に入って以来、柱と共に行動せよと告げられたのは初めてだった。
足音がして、俺は松の木陰から道を見下ろす。明るいとは言い難い、朧月夜だ。暗い田舎道でも、その男は目を引いた。炎を宿したような色の髪を持ち、意志の漲る双眸を炯々と光らせている。喩えるならば、まるで篝火だ。
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