星は瞬く「あなたから日付を指定してのお誘いとは珍しい」
「……言うな」
夜の帳が下りた頃合、蓮花塢の四阿にて姑蘇藍氏の宗主と雲夢江氏の宗主が各々茶杯と酒杯を手にして向かい合っていた。
「嬉しいという話だよ」
茶杯を掲げた藍㬢臣が微笑みながら、そう言った。少し顔を逸らしながらも江澄も酒杯を掲げ、一息に煽る。
「いいお茶だ」
「口にあったならよかった。雲夢の高山で今年採れたばかりのものだ。気に入ったのなら帰りに包もう」
「それは嬉しい。ありがたくいただこうかな」
四阿は湖から吹く風がよく通り、些か残る雲夢の暑さを涼やかに和らげてくれている。空には星も少しづつ煌めき出してきていた。
「――何故今日だったのか、理由を聞いても?」
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