「機嫌直してくだせェよ」
「別に怒ってない」
沖田が珍しく眉を下げて、近藤に頼み込む。服の裾を掴まれ、くいくいと引っ張られていても、近藤はツーンとして、沖田の方に顔を向けない。沖田が悪いのだ。自分を放って、女の子と遊ぶ計画を立てるから。近藤はさっきのことを思い出して、頬を膨らませる。
本当は知っている。別に気にすることではないことを。遊ぶわけではなくて、買い出しにいくことだし、大勢で行くことだし。
本当は分かっている。しかし、モヤモヤするのだ。
ぐるぐるもやもやと近藤が考えていると、沖田が人差し指で膨らんだ近藤の頬を突いた。ぷすっと空気が抜ける。
「それ、反省してる?」
「してやすよ。こっち見てくれないと誠意が見えないでしょ」
振り向くと、思うより近くに沖田の顔がある。真剣な瞳が近くにある。見つめている。
分かっているのだろうか。俺がその瞳に弱いことを。
近藤ははたまた頬を膨らました。
もう、総悟に勝てない!!