茸 ーーなんだ? 何か空気がおかしい。
皇帝である以上、常に皆に囲まれ、皆の顔が見える位置にいる。
それが、今日は、皆の視線がこちらに向けられていない。
他の誰かを見て、噂しているようだ。そして、私がどのような反応をするのか気にしているといった視線がちらちらとぶつけられていた。
誰だ? 何があった?
ゆっくりと歩みながら、皇帝は无限の長い髪が視界に入って目を細め、その視線が自然に下がることに気がついた。
「………胸が生えてるぞ」
「はい」
无限の整った顔も無表情も、いつも通りだ。頭上の小さなまとめ髪も、紺色の服装も、腰に帯びた剣も変わらない。が、平らな胸が、盛り上がっていた。
おふざけで、胸に詰め物をするような奴ではない。理由は知らないが、女性の身体になっているようだ。
1732