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    yu0621ha

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    諏訪さんを頼るという事はどういう事かみたいな話と、そんなものに規定されてない風間さんの話

    風諏訪 『原始通貨』 諏訪洸太郎という男の話 三雲修が課題の三門市の歴史について何か一つ発表する、のテーマに選んだのは『三門市内の川に関する変遷』だった。
     その中で橋に関する事は空閑に資料を譲り教えればいいし、自分は川について書けばいいと思っていたのだが図書室でも図書館でもいい資料は貸し出し中で課題が間に合いそうにない事を焦っていた。
     そうして頭を抱えていると、空閑が溜息をつきながら言う。
     「仕方ありませんな。すわ先輩に頼りますか」
     「諏訪さん?ってボーダーの?諏訪さんも橋が好きなの?」
     「さぁ、多分橋は好きじゃないけど、頼れば多分何とかなるよ」
     空閑はそう言って端末を操作して諏訪自身に管制室に居る事をきくと早速行こうと三雲を誘った。

     管制室の中でも一際目立つ金髪とよく通る声は、には入った途端に見つける事が出来る。
     三雲達から背を向けC級隊員に何か声をかけていたのに周囲の反応から気付いたらしく話を切り上げて向き直る諏訪は、やはり気配にもだが周囲の状況の把握に敏いと内心感心する。
     「よぉ、俺に頼み事だってな」
     「そうなんです。課題の資料が集まらなくて困っていて……三門市の川と橋の資料が手に入る心当たりはありませんか?」
     尋ねると、諏訪はあるぜと頷いて電話をかけようとするのを空閑が止める。
     空閑からはほんの一瞬だけ臨戦態勢の様な緊張が走って、釘を刺したように感じられる。
     「すわ先輩、このお礼は今度お昼ご飯奢るので良い?ゆっくり話もしたい」
     「気にすんなよ、と言いたいが。いいぜ。心配すんな空閑、俺もお前らと話してみたかったしな。三雲、課題まとまったら俺にも見せてくれよ」
     そう笑った諏訪さんは、期限や絵や写真が多いほうがいいか、資料や話を聞くなら今日と明日は何時空いているのか等を的確に訊いた後に手早く数件の連絡先に電話していく。
     「三門大 生徒番号******の諏訪洸太郎です。第*図書室の司書の方に繋いでいただけますか?……お、本〇さん?諏訪です。レファレンスというか、三門市の川と橋に関する資料で、出来たら絵とか写真多めのってある?夕方に風間に取りに行かせるから纏めといて。中学で使える位の資料で良い。うん。オレの名前で貸し出ししといてくれる?ありがとな」
     「おう、風間か?今日大学からボーダー来る時に第*と図書室から資料受け取っといてくれよ。おう。今度朝車で送ってやるからよ。おう、頼んだ。いつも通りウチの隊室に置いといてくれ」
     「八重子さん?洸太郎です。町内会で市の土木課、特に河川の歴史に詳しい人とかいる?うん?あーー、やっっあんの息子さんが、今も?おう。なら祭りで連絡先聞いてるから直に頼むわ、ありがと」
     「まぁ、直は不味いか。三門市役所ですか?こちら諏訪と申します。土木課の△山さんはおられますか?はい、はい。……あ、諏訪です。いや、ウチの学生が三門の河川と橋の事調べたいらしくて、ええ。今日か明日お話を聞いたり、資料を頂けたらと。はい、はい、それで大丈夫です。ありがとうございます。またお父様の方に柿持っていくんで皆さんで食べてください。はい」
     と、目を丸くする三雲の前で電話を切って素早くメモを渡してくる。
     「三門大の資料室の資料は今日の夕方までには風間が持ってきてうちの隊室に置かれるから、入ってきて勉強していい。さすがにお前らに又貸しは出来ないけど、俺の監視下で閲覧ならいいだろ。市役所の土木課には話付けたから、明日この時間に行けば生の話と資料が貰えるからしたい話纏めとけ……これでいいか?」
     「充分です!ありがとうございます!」
     「よし。美味い洋食屋連れてってやるから、楽しみにしてるぜ。人の金で食う飯」
     諏訪はそう笑うと、三雲と空閑の二人の頭を撫でて横目で見ていた訓練室から出てくるC級隊員に話しかけに行った。
     「ねぇ、空閑。諏訪さんにちょっと警戒してる?頼りがいのある人だし、空閑も嫌いじゃないと思ってたけど」
     「ああいう人は通貨のおぼつかない国でよく見るんだ。信用を通過に、相互のつりあう労働を対価に世界を回す人。勿論、そんな事は贔屓する人や裏表がある人じゃ務まらない。信用が通過だから。だからこそ、すわ先輩はオサムだけの味方にならないし、すわ先輩の身内の誰かが困ったらオサムに頼みごとをする。無茶な事は回さないし、オサムに拒否権はあるけど。念の為に貸し借りはその場で決めた方がいいんだ。すわ先輩だから回せてるし、アコギじゃないのは分かるけど。あの人の大事な物の範囲は、ちょっと広すぎる気がするから保険をかけた。だけで、すわ先輩の事は信頼してるし好きだぞ」
     そう言われて、閉鎖環境試験を思い出して納得する。
     「ああ、それはちょっと分かる気がする。そうか、頼み事をする時は気を付けるけど、多分これからも一杯お世話になると思う」
     「そっか」
     
     風間は大学の講義が終わった後に図書室で何故か(諏訪の野暮用を何度か引き受けた故だが)顔見知りになった司書に笑顔で資料を渡され、その中にまた何名かに本の返却の声掛けをして欲しい人のリストがあると告げられる。
     諏訪のあの成りと顔の広さで、本の返却を促されると返却に応じる生徒が多いのだとか。もう何度も聞いた話を聞く。
     明日は諏訪に大学に送らせるのだから、家に迎えに来てもらうより彼奴の家に泊まるかと算段をしながら隊室について資料を麻雀宅の上に置く。
     「諏訪、頼まれごともその封筒に入ってるらしい」
     「おーー、ご苦労さん。今晩家来るんだろ?昨日作ったミートソースの余りをカレーにするわ」
     「仕方ない、それで我慢してやる」
     「何様だよ」
     軽口を叩きあいながら、風間は諏訪にあれもこれもと注文をつける。
     それに、諏訪は溜息をつきながら今日空閑に適切な頼み方をされた話をする。
     「聡いのもあるけど、空閑は俺みたいな奴を彼奴はどっかで見たからこそ借りを作らなかったんだろうな。で、お前は俺がこんな奴って知ってんのに踏み込みが深ぇな」
     自分の前で傍若無人なまでに振舞う相手を面倒くさそうに、けれども動きは真摯に対応している諏訪に風間は笑う。
     「俺はお前が俺の全てを求めようが、お前と繋がる総てで俺を縛ろうが構わないからな」
     そう言われて、諏訪は面白くなさそうに風間にキスをした。
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