双子語話すぐだーずの話「よく立香先輩とりつか先輩は一緒に歌ってますよね?」
「「歌?」」
指摘されたので私は思わず立香を見れば、立香も私のことを見ていた。そして同じ言葉を返す。私と立香は双子だ。立香が一応はお兄さんってことになっているけど、私のがお姉さんでもいいとは思っている。
「――歌ってる?」
「――歌ってないよ?」
立香に問いかければ、立香も心当たりがないようで首を横に振っている。
「ほらそれです」
マシュからの指摘で、はっと思い出した。立香と話していたのは日本語ではない。小さい頃から二人だけで話す時に使う言葉だった。
歌っている自覚はなくてただ話しているだけなのに、周りからは歌っているように見えるらしい。立香も謎が分かったようであーと声にならない困った声をあげた。
「あー……ごめん歌ってるわけじゃなくて俺たち話してただけなんだ」
「そうそう。私たちだけで無意識に話すとこうなるだけなの」
二人でマシュに説明をすれば、マシュはなるほどと納得してくれたらしい。
「歌っているのではなくお二人だけの言葉ってことですね」