傷と誘惑4 パッセンジャーが、先日の会議の資料を未出席のエンジニアに配って回っている。要点をまとめた追加資料を添付してくれているようだが、それについて口頭での説明をつけ足したり、質問に応じているようだ。わざわざそこまでの手間をかけるのも珍しい気がしたが、会議は次年度の予算要求に関するものだったはずで、一部のエンジニアには疎かにできない案件だろう。後から「聞いてない」などと言われるよりはマシだと判断したのかもしれない。
決算書の一件以来、クロージャは彼に面倒な書類仕事を次々押し付けているようだが、本人はあまり苦には思っていないようだ。
すっかりエンジニア部の秘書扱いされているリーベリは、外勤任務で会議に出られなかったシェーシャのところにも資料を渡しにやって来る。予算に口を出すつもりのないシェーシャはまともに資料を読む気は無かったが、それを知っているのか、彼は説明の代わりに違うことを言った。
8728