バケツの底油断していたといえばそれまで。でもそんなダセー事認めたくないだろ。降水確率なんか見たことない。サングラスの隙間から雨雲が見えればそれで十分。気付かなくたってぽたっと一滴当たればそれで無下限張れるんだから、傘なんていらなかった。
その油断がゲリラ豪雨への対応判断を鈍らせた。
「だからそんなずぶ濡れかつ不機嫌なんだ?」
「うっせ」
バケツをひっくり返したようなってよく聞いたけど本当にその通りの大雨だった。雨粒ひとつが当たる間もなくざばっと降って、バケツが空っぽになったかのようにぴたっと止まる。任務で屋外にいた俺はタイミング悪く任務の、それも祓ってる途中で、身構える間も無くずぶ濡れ。廃墟内に逃げ込んだ呪霊を追っていた傑は難を逃れたのだった。
1858