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    shakota_sangatu

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    オメガバアオカブのその2

    #アオカブ

    タイトル未定 アルファであることを、一度も誇ったことはない。

     普通、平凡、中庸……。ノーマルであることを好むアオキにとって、己がアルファであるという事実はこの世に生まれ出でた時に与えられた呪いともいえる忌まわしいモノであった。
     ポケットモンスター、縮めてポケモン。この星で共存する人ならざる彼らをパートナーとして生活する人間たちには、男や女である以前に、第二性と呼ばれる性別が存在している。何時の頃からか、アルファ、ベータ、オメガと名付けられ、世界共通語となった特殊な性。これらは、人類とポケモンがより深く通じ合っていた頃の名残であるとも言われている。
     この世に生まれた人間に存在する第二性、アオキに与えられたのは支配者階級とされるアルファの性だった。
     アルファは、生まれついての才人であるらしい。有名な研究者や大企業の社長といった人間は皆がアルファであり、アオキの両親もアオキにそうなることを望んでいた。彼らは、息子がアルファであると分かったその日から、我が子をアルファ専用の学校やコミュニティに属させたがった。
     彼らは、ベータだったからだろうか。
     身内から生まれたアルファを、誇りたかったのだろうか。すくなくとも、アオキには両親の気持ちがこれっぽっちもわからなかった。
     アルファに焦がれるベータに気持ちも、そして、その羨望を「是」とするアルファの気持ちも。
     ──、アルファは、選ばれた人間である。アオキが属されたアルファのコミュニティ、そこの人間たちが口をそろえて言うのがこれだった。
     アルファは選ばれた人間だ、他の第二性を屈服させることが出来るフェロモンをその身から発することが出来るから。だから、アルファはほかのベータやオメガを支配するべきだし、彼らはアルファのために傅くべきである。
     笑いながらそう言った誰かの傍には、媚びるように侍るオメガがいた。その子から漂う、甘ったるい臭いが不快だった。
     生まれついてのアルファと関わって、思ったことがある。───、ここは糞だと。他者を傅かせて何が楽しい。他者より優れていて何がいいのだと。アルファの高慢な態度も、そこに連れられてきたオメガの怯えた眼差しも……。全てが、全てが煩わしかった。
     アルファになんて生まれたくなかった、自分は平凡で凡庸な人間に生まれたかった。
     血を入れ替えればいいのなら、とっくの昔にそうしている。オメガの臭いにも気づきたくない、無自覚に放つプレッシャーを出したくなくて、アルファ用の抑制剤をいくつも噛み砕いて飲み込んだ。性欲というものさえ煩わしく、それならばと食欲に走った。気づけば、良く食う男だと言われていたが。煩わしいので、それでいいと思った。
     強すぎる薬で不健康になっても、穏やかで普通の生活がしたかった。
     まるでベータのようなアルファは、自分を追い詰めたぎりぎりの生き方をすることで存在することができたのだ。
     自分が、アルファであることを疎んできた。
     生活の中からも、第二性というものを、徹底的に排除してきた。
     そうやって望んで得た凡庸な世界で、生まれて初めて安らいだのが、カブという人との時間だった。
     望んだわけではないパシオへの出張、そこで出会ったのがカブだった。燃える炎のようなバトルをする彼は、穏やかで温かな時間を共有させてくれる人だった。
     アルファらしくないアオキを、そのままのアオキとして受け入れてくれた。
     アオキという人間の在り方を、尊重して大切にしてくれる……。それは、アオキが初めて出会った、アオキを第二性という呪いではなく見てくれた人だった。
     カブといる時は、惜しむほどに時が早く流れる。他の者とであれば、はやく終わればいいと思っているのに。カブとの時間は、時計を見る暇が無いほどにあっという間だ。
     カブと食べる飯は、いつもの飯よりもずっと美味しい。カブと出会う前にみつけた気に入りの定食も、カブと共に食べるといっそう美味しかった。
     カブとの会話も、とても楽しい。自分の中に、誰かとの会話を楽しむという感覚があることを驚くほど……。カブと過ごす時間は、色鮮やかでとても美しい。
     夜明けのようなまぶしさとも、燦然と輝く月の光とも違う。穏やかで、木漏れ日の中に憩うような心地よさを、彼の傍にいると感じることができる。
    『アオキくん』
     柔らかく微笑む、カブさん。いつからだろうか、彼を見ていると、妙に腹が空くことに気づいたのは。
     優しくしたい、慈しみたい、大切にしたい……。そして──、食べてしまいたい。
     普段は、食欲で誤魔化した、大食らいな本能。
     それが、大嫌いであるはずのアルファの性であることに気づいたとき。
     アオキは、カブのことを、愛してしまったのだと理解した。

     それは赦されざることでもあり、祝福でもあるようだった。

     赦されぬと感じたのは、この心に燃える恋情を、忌避しているアルファの本能によって自覚させられたことから……。否応ないことなのだと理解しながらも、アオキは己の中で殺し損ねているアルファ性を疎ましく思った。
     祝福だと感じたのは、自分が恋したのがベータであったからだ。アオキはアルファである己を厭うと共に、オメガとの間にできる特殊な関係性をも忌避していたから。
     それは、運命の番という……。アルファ性とオメガ性の間には、本能に刻まれた恋情で結ばれる関係性があるのだという。
     第二性を厭うアオキにしてみれば、人間の理性や知性で従わせることのできない感覚というものは不気味な印象しか受けなかったし。「貴方にも運命は居るはずです」という同じアルファからの、ありがたい助言の言葉を黙殺したりもした。
     そんなアオキだからこそ、恋した存在がベータのカブであるという事実にほっと安堵したのだ。カブはベータ性を隠していなかったし、なによりも、首にオメガの証である首輪を巻いていなかったからすぐにベータだと分かった。
     アルファは、同じアルファか、番関係を強いることができるオメガをパートナーにする。
     そんな通例に反して生まれたカブへの恋心は、第二性を厭うアオキにとって間違いなく祝福で。
     ──、同時に。
     アルファだとか、ベータだとか、オメガだとか。そんなことは些細な問題だと思えるほど、アオキはカブという存在に深く深く恋してしまった。
     それからの日々は、本当に楽しいものだった。
     カブと食事をする、会話をする。教えてもらったトレーニングをする、仕事の相談をされてそれにアドバイスをする。全部、全部、全部、全部が楽しかった。
     そして不思議と、カブとの恋を自覚してから、アルファ用の抑制剤を飲まなくても、フェロモンをうまくコントロールすることができた。
     あの不味い薬を飲まずに食べる飯はいっそう美味しく、まわりからも「顔色が良くなった」と指摘されるほどだった。
     周囲からの指摘に関心はなかったが、身体の調子がいいと業務効率が良くなり、そのぶんカブとの時間を捻出することができたのは行幸だった。
     仕事を定時で終え、カブと待ち合わせし食事をする。……、温泉にも行った。ホウエン方式で裸で入浴する温泉で、湯煙に紛れたカブの肌が見えるのは、少し目のやり場に困ったが。
     それでも、慈しみたいという欲が強く、アルファの性欲は目覚めなかった。
     もちろん、劣情が無いわけではない。当然、カブを想って欲を発散したこともある。ティッシュに吐き出した欲望を、彼の身体にねじり込みたいと望む暴力的な衝動もある。
     けれど、自分は、アルファのぎらついた肉欲は嫌いだ。叶うならば、ずっと、カブに恋をしていたい……。
     見つめあう貴方の、その唇に、叶うならキスをさせて欲しい。
     それが、きっと、平凡で中庸を愛するアオキの、普通の恋愛なのだから……。

    「アオキくんは、どうしてボクに優しいんだい?」

     だから、カブからそう問われた時、アオキは少しだけ嬉しくて少しだけ怖かった。
     ホウエン料理が楽しめる居酒屋の個室……、カブはいつもよりも、少し酒も進んでいたかもしれない。酒精は舌を軽くして、気になっていることがポロリと零れたようだった。
     その時、アオキは酔っていなかった。ただ、カブから向けられた疑問に、素直に応えるかを悩んでしばし言葉を失った。
     当然、若干の間が落ちる……。思い悩むアオキの前で、気まずそうに身じろぎをするカブの目が、甘そうに揺れているように見えて……。
     伝えようと、アオキはそう思った。
    「それは……、自分が、カブさんのことを好いているからですね、」
     その数秒の間に決心したアオキは、努めていつもの調子でそう言った。
    「え、……?」
    「自分は、貴方に恋愛感情を抱いています」
    「……、えぇっ、」
     アオキの突然の告白に、カブは当然驚いたようだった。──、少し、意外だった。
     温かな日差しのようなこの人は、当然、誰かからの好意を受け入れ慣れていると思っていたから。ガラルリーグの、エンジンジムのジムリーダー、燃える男と呼ばれるカブは、アオキの告白を受けて頬を赤く染めている。そこに、少しでも忌避感を感じれば、アオキには身を引く心づもりもあったが。
     カブが、存外に羞恥していて、そしてなぜか……。
     不安そうだなと、アオキはカブを見ながらそう思った。それから、ややあって、カブが放った言葉は聞き捨てならなかった。
    「ボク……、ベータだよ? 君はたぶん、アルファだよね。こんな、おじさんの、ただのベータに、」
    「ただの、ベータじゃありません、」
     ──、それ以上言わせない。カブの言葉を、アオキは強く遮った。たとえ彼自身であろうとも、自分が愛する人を「ただのベータ」だと否定させたくなかったからだ。だから、きっと初めてだろう……。アオキは、どもりながら言うカブの言葉を遮った。
     気の迷いでは決してない、愛しているのだ……、アオキは、カブを。通例では、アルファはアルファやオメガと恋をし、ベータはベータと結ばれやすいという。けれど、此処には間違いなく、ベータに恋したアルファが存在している。
    「貴方は、この世にただ一人だから、」
     カブの手を握って、アオキはひどくあたりまえのことをそう言った。アオキにとって、それだけが事実であり、カブというただ一人を愛したという想いの表れであった。
     そうすると、カブはいっそう真っ赤になって……。それからは、口説くので必死だった。
     柄でもなかったかもしれない、落ち着いていると言われる態度などかなぐり捨てていた。
    もしかしたら、フェロモンも少しだけ出ていたかもしれない。けれど、どれほど身体からアルファの本能が零れようと、そんなものはこの人には通用しない。
     ───、そのことが、とてもうれしい。
    『貴方との日々が、自分にとって特別だ』
    『赦されるならば、貴方と恋愛関係になりたい』
    『友情で終わらせるには、自分は貴方に恋している』
     アルファであれば、屈服させて終わりだ……。けれど、そんなのは普通ではない。本能ではない恋がしたかった、そのつもりだった。だから、カブのために逃げ道も用意した。
    『諦めろというなら、諦めます』
    『無理強いはしない』
     あくまでも、心を通い合わせることができるなら。それならば、貴方と愛し合いたいと。アルファの本能ではなく、一人の人間として貴方を愛しているのだと。
     怖がらせたく無かった、心を委ねて欲しかった……。
     だから、カブが嫌がるのなら、アオキは本当にあきらめるつもりだったのだ。これまで通り、友情という名の関係性を続けることも、それはあり得ることだと理解していた。
    「考えさせてほしい……、」
     だからだろう、カブが素直にそう言ってくれたのは。ただ、イエスと言われるより、アオキはカブの意思を殺さなかったことに満足した。
     非難するつもりはさらさらない、ただ、怯えさせなかったことが誇らしい。
    「わかりました」
     そう言って、お店を出て別れるまで、アオキはカブに対して優しく接することができた。そう、月夜の下で、カブと別れるその瞬間まで。


     そののち───、カブが何者かに襲われたと聞いて、アオキは生まれて初めて憤怒の唸りを上げた。


     久々に、全力疾走をした気がする。少し鍛えた程度の身体は重く、鳥ポケモンのように軽やかに進むことはできない。ただ、バクバクと出るアドレナリンが、アオキのアルファとしてのパフォーマンスを信じられないほどに底上げしていた。
     生まれて初めて、アルファで良かったと思ったかもしれない。その忌避すべき思考は、アルファである身を厭うアルファである男に与えられた、残酷で慈悲の無い猶予だったのかもしれない。
    「失礼──、っ、っ……!!!!」
     病院にたどり着いた時……、アオキはえも知れぬ甘い香りを感じたのだ。
     ふらふらと、誘われてしまいそうになる芳しい香り。ほんの一瞬だけ感じたそれに、アオキは全身の産毛が逆立つのを感じた。──、だが、匂いを感じたのは本当に一瞬で、だからアオキは一瞬だけ足を止めたものの受付に向かうことができた。
     真夜中の時間帯、夜勤の看護師は切羽詰まった表情のアオキを見て一瞬びくりと肩を震わせた。背が高い男が、ぬらりと立っていたら恐ろしいものである。
     アルファへの恐怖というよりも、見知らぬ男への恐怖に目を見開いた看護師ではあったが。
    「失礼、自分はパルデアリーグ四天王兼ジムリーダー兼営業のアオキと申します」
     ほんの数秒で息を整えたアオキが、恭しく名刺を差し出したのに、ベータである看護師はほっと胸を撫でおろす。
     パシオには、アルファが多い……。病院という特殊な環境下であるからこそ、アルファという種に関わり慣れたベータは、普通のアルファよりも気配の薄いアオキにすぐに落ち着きを取り戻した。
    「此処に、ガラルのカブ選手が運び込まれたと聞いたのですが……、」
    「ああ、護衛の方ですね……、早いなあ!」
     ───、だからこそ、対応を間違った。
     ベータの看護師は、アオキをベータだと勘違いした。それにより、現在A級の戒厳令が敷かれた病院で護られていたはずの秘密を口にしてしまう。
    「……、………、はい、そうです」
     護衛という言葉を聞き、一瞬だけ取り乱しかけたアオキは、けれどすぐに現状を理解して看護師の勘違いを改めようとはしなかった。アオキが、カブの情報を知ったのはオモダカを経由してだった。短い通話の向こう側では、スタッフの険しい声が聞こえていた気がする。
     オモダカだけが知る情報、そして、看護師が口にした護衛という言葉。
     大切な大切な人が、何か危機に陥れられている。ならば早く、会いに行って、護ってやらなければいけない。──、番を護る猛禽のような、それはどこまでもアルファの思考回路だった。けれど、アオキはもう気づかない。
    「こちらです」
     アルファのようで、アルファに見えない。そんなアオキを、看護師が先導する。アオキははたから見れば表情の読めない、けれども知る者が見れば不穏な表情でそれに続く。
     病院の暗い廊下を、走り出したい衝動を抑えてアオキが歩いていく。その表情はどこまでも険しく、けれども普段から服用しているアルファ用の抑制剤が彼の気配をどこまでも薄くしている。そして……、たとえ、その身体から周囲を威圧するフェロモンが僅かに零れていたとしても、ベータである看護師はあまりに微弱なそれに気づくことができない。
     故に、病院の社員証でのみロックが外せる重厚な扉を、なんのためらいもなく開けてしまう。夜とは思えない照明が煌々と灯った長い廊下、その先に二枚の扉が存在している。
     その看護師は、手術室を見通せる見学室へとそのアルファを導いた。
    「っっっ、バイタル不安定っっっ!!! アドレナリンをっっっ!!!」
    「いったい全体、なにがどうなって、こんなことがおこるんだっっっ!!!」
    「ごちゃごちゃ言う暇ね─ぞっっっ!!死んじまうっっっ!!!」
     処置室へと足を踏み入れた時、アオキの顔色が一気に変わる。……、それは決して、手術室の音を拾ったマイクの音声を、耳にしたからではない。
     突然、どさりという音がして。不審に思った看護師が振り返って見てみれば、アオキが片膝をついてそこにいた。
    「──、うぐぁ、」
    「……えっ、え?」
    「っ、────、はぁ、あ、」
     俯いていたアオキは、医師の呼びかけに反応して───、光の加減によっては青くも見える、燃えるような熱のこもった黒い双眸を前に向ける。
     その熱のこもった黒い目は、もう看護師を見ておらず。その向こうの、手術室へと向けられていた。
    「……、っ、……、っ、は、は!?」
     アオキは、ゆうらりと立ち上がる。次々に湧き上がる唾液を、喉を鳴らして嚥下する。
     顎を手で押さえ、アオキは小刻みに震えている。その目はまるで獲物を前にした猛禽のようで、その瞬間、そこに立っていたのは強大なフェロモンを放つアルファであった。
     ベータは、知らなかった。
     この男が、パシオが派遣したベータの護衛ではないことを。
     ベータには、分からなかった。
     たとえ理知的なアルファであっても、見学室には彼らの正気を根こそぎ奪う芳香がたちこめていたことを。
     それは、アルファとしての本能を厭う男が、その本能に隷属してしまうほどに甘美な香り。
     手術室から見学人を隔絶する透明な壁、隙間一つないそこから漏れ出る、舌の上に溶けるように情熱的で、ほろ苦くも甘い蜜の香り。
    「───、っ、は、……、はぁ、───、ははっ、」
     黒い目に熱を宿した男が、まるで赦しを得た咎人のように笑った。その全身からは、ベータを怯えさせるほどのアルファの気配が立ち上っている。
     アオキは、戸惑う看護師の横を、希望に満ちた表情で通り抜けると。躊躇いなく、腕を振りかぶり……。

     ────、カシャァァァァァァン───。

     拳が、処置室の硝子に穴を空けた。弾丸を弾く筈の強化ガラスを、本能を剥き出しにしたアルファの拳が叩き割った。
     アルファが、かちりと、牙を鳴らした。
    「っ、……、じぶんのです」
     防弾ガラスは千々には散らない、放射状に割れたまま口を開けたガラスに、アルファが手をかけて穴を広げていく。
     強化ガラスを殴り砕いたアルファの拳が、自身の空けた穴に指をかけて。ひび割れたガラスの群れを、卵の殻でも剥くように引き千切る。
     カシャ───、思い出したように、透明な音を立てて崩れ落ちる硝子の群れ。透明な欠片が床に散らばる様は、幻想的で美しい。
     アルファのフェロモンを受けて、眠れるオメガの呼吸が穏やかになる……、不規則に跳ねていた脈が、収まっていく……。その、奇跡のような、それでいて不穏な光景の中で。
     アルファが、はくりと、息をした。
    「そのひとは、じぶんのものだ」
     ───、望まないはずだった。理性や知性を踏みにじるような、本能に従属するアルファの衝動など。
     ───、疎んでいるはずだった。運命という言葉で片付けられてしまう、アルファとオメガの肉欲と衝動を。
     けれど、この時。ガラスを叩き割り……、拳から血を流す男は、他の第二性たちが傅くようなまさしく絶対的なアルファそのもので。
     そして、手術台の上に横たわる眠り姫のような、芳しい香りを放つ人は確かに。このアルファのために用意された、運命のオメガそのものだった。



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