ショートケーキ小豆くんと謙信くんが焼いたケーキの味見役を仰せつかった。
「福ちゃん、どうかな……?」
「すごく美味しいよ」
甘さと酸味が口の中で程よく絡む。
クリームたっぷりの部分を思い切り頬張った所で実休が厨に現れた。
「ひっふうほはへるは?」
「うん、そうだね」
実休の手はテーブルの上のケーキではなく、俺の口元に伸びる。
唇の端についていた白いクリームを親指で掬ってそのまま己の口の中へ。
「福島の味がして美味しいね」
それだけ言ってそのまま厨を出てしまった。
「あつき、どうして めかくし するの?」
「うん……ちょっと そ の いげん のために」