SS小説(?)5つヴァンパイアと狐ちゃん
ある村の廃屋に、ヴァンパイアのアーサーと化け狐の菊が住んでいた。
「菊、今帰ったぞ」
「あっあーさーさんっおかえりなさぁい」
あぁ、今日も菊は可愛い。俺よりずっと昔からいるって言っているが、見た目は俺より遥かに小さい……っていうか幼い姿だ。
「きょーはどこにいっていったのですか?」
「んーとなあ、市場に行って来たんだ」
「いちば?ですか、あーさーさん」
「うん」
幼い菊は話し方も幼い。けど、そこがいい!
俺たちはやっと、こうして付き合って、一緒に住んでいるのだ。怖がりで、純粋な可愛い菊を守るために!
「わたしも、いってみたいです。いちばってゆーところに」
「うん、いつか一緒に行こう」
「はい!」
菊がもう少し成長したら、二人で。
ほあたっ☆
俺が星のステッキを持って魔法の呪文、『ほあたっ☆』を掛けると、掛けられた奴は小さくなる。
……で、日本にやってみた。
「日本!」
「はい、イギリスさん」
「すまない!少しの間、我慢しててくれっ!」
「?どういう……」
「ほあたっ☆」
ボンッと凄い音がして、白い煙が立ち上る。そして、その中にいるのは。
「なっなにをするのですかっいぎりすさんっ!」
小さな日本。あぁ……やっぱりいつの時代も、
「可愛いっ!日本!」
「ええっ!?だきつかないでくださいっ」
「いい匂いする……」
「ちょっと!においをかがないでもとにもどしてくださいっ!」
うん。これは中々良いものだ。
「何やってんだかねぇ」
「知らないんだぞ」
外野のフランスとアメリカに何か言われていることを知る由もないイギリスなのでした。
べ、別にお前のことが好きじゃないんだからな!
「日本、髪型変えた?」
「え?はい。変ですか?」
「いや……凄く似合ってて可愛い」
「あ、ありがとうございます?」
いつもは「可愛いという形容詞を男に使うものじゃないですよ」とか言ってたのに……。
とりあえず、日本の照れ顔は本当に可愛い。もちろん、日本の表情は全て可愛いが。
日本はあまり表情は変わらないが、よく見るとちゃんと違いがある。あっ、これは別に日本の事が好きとかじゃないんだからな!ずっと一緒にいるから分かることなんだからな!
……いや、訂正する。俺は日本の事が好きなんだ。考える度にドキドキするし、こんな乙女みたいな思考、どうにかしていると思うけれど。俺は日本の事が好きなんだ。どうしようもなく。こんなに好きになるなんて、昔の俺は考えられなかっただろう。
「イギリスさん?」
「ん?日本」
「どうしたのですか?考え事ですか?」
「あぁ、そんなとこだ」
「そうですか。まあ、そうですよね、忙しいですし」
ふわっと柔らかな笑顔の愛おしい、日本。
俺はお前のことが好きなんだけど。
お前は、俺のことどう思ってる?
うさりすはさみしいとしにます
とある日、イギリスは何故か小さくなってしまいました。
……しかも、うさぎの耳が付いていて。
「イギリスさん……可愛いです……!」
「ええっ!?……まあ、日本がいいならいいけど……」
「写真撮らせて下さい!後、日本が好きなように呼んでくれ」
「では、『うさりす』さん。うさぎでイギリスさんなので」
「うさりす、か……」
「嫌でしたか?」
「いや、昔もそんな呼び方だったなと思って」
「それなら良かったです。あぁ~うさりすさん可愛い~❤」
少し、可愛いと言われるのは恥ずかしかったのか、うさりすはこう言った。
「でも可愛いのは日本だろ?」
「え……っ」
「それに今、俺は小さくなってしまったから一緒にお風呂入ろう……?」
「えッ、ええ、そ、それは……っ」
「なーんて。からかっただけさ」
うさりすになったイギリスは少し寂しそうな感じで言った。
「……うさりすさんは寂しいと死ぬんですね」
「うん」
きっぱりと言った。こんな機会じゃないと、恥ずかしがられて一緒にお風呂に入れないからだ。
「まあ、こんな姿になってしまいましたし……。溺れたら大変ですものね」
「じゃあ、寝る時も一緒だからなっ」
「寝る時もですか……!?」
「俺は小さくなったし。……それにうさりす(俺)は寂しいと死ぬって言っただろ?」
「あっちょっ、うさりすさ……、舐めないで下さい……っ」
日本は小さくなってしまったイギリス、もというさりすにされるがままになってしまった。
お花組とストーカーの自称紳士様
「日本!」
「あっイタリア君……っ!」
「ん~。会いたかったぁ~」
「ちょっ、何キスしようとしているんですか……っ」
イタリアが日本にキスをしようとした瞬間、何かの音、いや、誰かの声が聞こえた。
『おのれイタリアめぇ~!!』
「ヒッ」
イタリアは寒気を感じ、寸止めした。
「?どうしたんですか?イタリア君」
「う、ううん。何でも」
イタリアは、イギリスが自分に呪いを掛けてるなあと思ったが、日本から離れようとはしなかった。何故なら日本が可愛いから。
「日本は俺のなのに……。イタリア、ぶっ潰す……!」
一方イギリスは、(自称)紳士なのだが、日本をストーカーしていた。もちろん、日本はそんな事は知る由もない。
「ねえ、日本は俺のこと(恋愛として)好き?」
「まあ、(友達として)好きですけど……」
「じゃあっ俺と付き合おうっか」
「ええっ!?何言ってる「そんなことさせねーぞ!」んなつもりでは……」
「あぁ。イギリス、やっぱりいたんだね」
「俺から日本を奪おうなんて100年はえーんだよ」
「えー、日本は?」
「か、考えさせて下さい……っ!」
「「ダメ」」
両手を二人に掴まれる日本。
「「俺を選べよ、日本」」
「俺を選んでくれるよねっ?日本!」
お花組の相方のイタリアとストーカー紳士(笑)のイギリスの日本を巡るこの三角関係は始まったばかりだ。