髪紐の行方 モニカ・エヴァレットは真剣な面持ちで露店を見つめていた。大きな声を張り上げ、商品を見せびらかす背の高い店主はまさにモニカが苦手としている人間だ。それでも、モニカはおそるおそるお店に近付いて、なんとか話しかけようとする。指をこねる小さな少女に店主は目をぱちくりさせて声をかけてきた。
「どうした?嬢ちゃん。なんか欲しいもんがあるのか?」
「あ、あのっ……その………」
息を整えて、モニカはぎゅうと顔をしかめて、お腹から声を出す。
「かっ、髪紐を見せてください!」
思わぬ大声にぽかんと口を開けた店主の露店には煌びやかなアクセサリーが並んでいた。
眉を顰めながらモニカは髪紐を見つめている。その真剣さたるや、まるで魔術式に向き合う時のようだ。髪紐を穴が開くくらい見つめたモニカはうんうん悩み出す。
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