沈黙の貴公子 おどおどと俯いて指をこね始める少女。セレンディア学園の生徒会メンバーとして全く相応しくない振る舞いにシリルは思わず鼻を鳴らす。
あの第二王子、フェリクス・アーク・リディルに選ばれ、栄誉ある生徒会役員のメンバーになれたというのにこの小娘は震えて青ざめるばかり。会計に必要な計算能力はシリルも目を見張ったが、その他諸々が壊滅的になってない。
彼女が会計に決まってしまったことは仕方がない。教育係として、シリルはこの後輩を導いていかねばならない。
生徒会の名誉のために、そして、彼女がこの学園で少しでも周りから認められていくように。
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小さな手に握られた羽ペンがカリカリと数字を書いていく。彼女はことりとペン立てに置くと、数字をうっとりと眺めて息をついていた。
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