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    takesakiiiiii

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    takesakiiiiii

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    「わくわくクリスマス会」
    懲りずに医パロ時空ののdnkb
    🎅🎄はどうしたろかとわくわく相談する二人

    #dnkb

    「わくわくクリスマス会?」
     ダンデの素っ頓狂な声に、キバナは申し訳なさそうに頭を掻く。
    「ごめんダンデ。病棟のクリスマス当番に当たっちまって」
     晴れて聖夜に会うための理由をつけなくてもよくなった二人の初めてのクリスマス。どんな甘い夜を過ごそうか、なんで話し合おうとした矢先に切り出されたポップなワードにダンデは眉根を寄せた。
    「小児科って大変だな。そんなこともするのか」
    「クリスマス会って言っても回診をサンタクロースのコスチューム着てやるだけなんだけどな」
    「……ミニスカサンタで回診?」
    「難聴か! 普通の長袖長ズボンだって。せっかくのクリスマスに家に帰れない子供たちにせめてもって、ローズさんが」
     こういうときに真っ先に餌食になるのは所帯なしの職員だよな、とぼやくキバナにダンデはむ、と唇を尖らせる。
    「キミには聖夜を共に過ごすパートナーがいるだろ」
    「そ、れはそうだけど……。てかダンデも勤務振替でてたろ、25日!」
    「は!?」
     ダンデは慌てた様子で院内システムの勤務表にアクセスする。先日までは午前診察だけで、その後年が明けるまで休みの申請をしていたはずだ。
     カロカロとマウスをスクロールして自分の名前を見つけると、確かに勤務の変更がされている。
    「……昼入りの当直……」
    「おつかれさん」
    つまり、聖夜の日は昼から翌朝まで病院にいるということになる。25日中に家には帰れない。憐れむようにキバナがダンデの肩に手を置いた。
    「こんな勤務了承してない……」
    「変更要請、この前の回覧に入ってただろ。お前のサイン入ってたぜ」
    「……そんなの読んでない」
    「ちゃんと中身見ような。というわけで25日、オマエとオレは仲良く勤務ってわけだ」
    「この際だ。キバナのサンタ姿を見るのを楽しみにしよう」
    「残念。小児病棟でしかこのイベントないのよ。オレさまのサンタコス見れるのは聖夜に入院しているイイ子たちだけ」
    「やだ」
     わかりやすくぶすくれたダンデがデスクに突っ伏す。こんな姿は患者の前には到底さらせない。ダンデはキバナの前でだけ、少し子供っぽいところがあるのだ。
     伏せてぐるぐる唸るダンデの胸ポケットに入ったPHSがピピピと音を立てる。
    「……はい。ダンデです」
     表情は不満を隠さない幼児そのものだが、声はしっかり仕事モードだ。変に器用なその切り替えにキバナはヒュウ、と感嘆する。
     はい、はい、と緊急入院の連絡をてきぱきと処理したダンデは、PHSの切ボタンを押した後、気が抜けたように再び机に突っ伏した。
     そんなダンデにそっと近づいて、キバナはひそひそと耳打ちする。

    「ダァンデ。25日、仕事頑張るって約束してくれんなら、オレさまダンデの為にサンタの服着てやるよ」

     キバナの甘い囁きに、ダンデは弾かれたように頭を上げた。ダンデの側頭部がキバナの顎にクリーンヒットして、お互いにぶつけた部分をおさえた。
    「ってェな石頭!」
    「……っつ……すまない……それより本当か、なんでも着てくれるって」
     ダンデは目を輝かせながら、キバナをうかがう。このキラキラ輝く期待のまなざしに、キバナはどうにも弱かった。惹きつけられて、つい応えたくなってしまう。
    「なんでもってぇ訳じゃねえけど……」
    「そうか、ありがとう」
    「ちょ、まてまてまて何注文してんの!?」
     ダンデは自分のスマホをスス、と操作する。普段電子カルテの操作に手間取ってすぐ事務員を呼んでるくせにこういうことだけ異様にはやい。キバナは嫌な予感にみぶるいしてダンデのスマホを奪い取った。
     しかし時すでに遅し、注文完了の画面だった。
    「何買った……?」
    「ん? ミニスカサンタだぜ」
    「……そんなんきな――」
    「“ダンデの為に”サンタの服着てくれるんだろう? なら、着てくれるな?」
     キラキラとした期待のまなざしが一転、ギラギラと凶悪なまでの捕食者のような光を宿す。
     する、とさっきぶつけた部分をいたわる様に撫でられる。これは、拒否権はない。そうキバナは理解した。ごくりと喉を鳴らして首を縦に振る。
    「上等だ、着てやろう」
    「ふふ、24日が楽しみだぜ」
    「ん? 24?」
    「ああ。オレもキミも日勤だ。そのあと一緒に帰るだろ?」
     なにより恋人同士の本番はクリスマス当日よりイヴっていうじゃないか。楽しそうに言うダンデの横顔に背筋が冷えた。
    「オレさま25は日勤なんだけど……」
    「そこは……まあ頑張ってくれ」
     今度はダンデが励ますようにキバナの肩に手を置いた。ちらりと見えた注文カートにはローターにディルドにバイブ、おまけにイボ付きのゴムまで。普段使わないようなピンクグッズがずらりと入っていた。こいつどれだけやる気なんだ……!!
    「ワンクリックって便利だな、楽しみだ!」

     今日一でハツラツとしたダンデを横目に、キバナは未来の自分を思って戦々恐々とした。
     でもまあ、ダンデと過ごせるなら、という甘い見立てで切り替える。どんなこともポジティブにとらえられるのはキバナの長所だ。
    こっちの内情なんて気にも留めず「午後の勤務も頑張れるぜ」とやる気に満ち満ちた様子でバリバリと健康診断の結果表入力を始めるダンデに「ダンデが楽しそうならいいかあ」なんて思えてしまうなんて、だいぶ絆されてるなあなんて考えながら、キバナは医局を後にした。
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