桜の花びらが解けては空を舞う中、青いレジャーシートの上であぐらをかきながら蓮は頭上にはてなマークを浮かべた。
似て非なる輝きを持つ黄金の男と女がいる。薄紅の花弁がきらきら輝く金糸の上に落ちた。花見とはこういうものかと楽しそうに笑う。そのそばで影がこの上ない喜びといった様子で相好を崩していた。
出かけるつもりもなかったというのに、どうしてこんなところに……とは思うものの、マリィが花見をやってみたいという以上否やのあろうはずもなく。事前準備も楽しんであれこれと用意しているマリィに期待の眼差しを向けられてNOと言える訳がない。
マリィとふたりになる分には邪魔をしてこないので(微笑ましそうに見てくるのはやめてほしいが)、余計なのがふたりついてきただけと思えば良いかと切り替える。
「ああ、そういえばマルグリットと二人きりになるなら……」
そんなふうに始まったおすすめスポットの話を思い出してつい渋面をつくる。
なぜならばどのスポットであろうと、話の結びが同じだからだ。
「ハイドリヒも見事だと褒めていたからな。まあ儚い生と死のなか佇む姿の美しさこそ、例えようのないものだと私は思うのだが……」
これである。