手を引くわけにはいかない 「――朔夜が、――で、――の時なんか――」
「…………君は朔夜のことが本当に好きなんだな」
しみじみとそう零せば嬉しそうに朝日奈さんは笑った。
「はい、大好きです!…あ、月城さんは別枠で大好きですからね!?憧れというかなんというか…」
そう弁明する姿がおかしくて笑ってしまう。
(散々朔夜が好きだの言っておいて……)
「俺からは充分仲良く見えるが…君たちは付き合ってないのか?」
そう問えば表情が曇り、それだけでそこまで至ってないことが見て取れる。
「告白はしていないのか?」
「してますよ!『大好き』とか『好きだよ』とか」
「……思うに、君の言葉が軽すぎて朔夜に本気と取られていないんじゃないか?」
ガーン、といった効果音が聞こえて来そうな表情をする朝日奈さん。
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