最期の想いは教えない「わ、先生ってどんな色も映えちゃいますね」
立香に、爪を化粧されている。誤解だ。暇だからと爪化粧をしている立香に構えと言ったら、俺に施したいと言って、赤い爪紅を足に熱心に塗っているのだ、彼女は。
「あまり嬉しくはないな。化粧は女性がするものだ」
「現代では男性でも、メイクしてたりしてますよ? 血色善くするために、パウダーとかエトセトラ。はい、でーきたっ」
ご機嫌で僕のつま先に息を吹きかけてくる。やめろ、くすぐったい。
「……これ、どれくらい待てばいいんだ」
「ん……20秒! もう大丈夫ですよ。すぐ乾くもの選びましたから」
足の爪に赤を施され、しげしげと見つめたが、悪くはないが決して良くもない。立香のような瑞瑞しい女の脚にこそ、こういうものは似合うというのに。
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