Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    はまおぎ

    男女CP二次文
    📘https://www.pixiv.net/users/1154499
    📮https://wavebox.me/wave/7ia7akulf0gay9gt/
    💬@ysas_reed

    .

    ☆quiet follow Send AirSkeb request
    POIPOI 111

    はまおぎ

    ☆quiet follow

    ご×う

    見舞う 眠る庵の手が掛け布団の上に投げ出されている。
     ベッドの傍らに座り込む五条は、つい、と指先でそれを転がした。抵抗する動きがあるわけもなく、ころりと素直に手のひらを見せる。
     つい、とまた指先で、今度は掌線をなぞって柔らかな肉感のふちをたどる。彼女の手のひらに、ゆったりと弧を描く生命線。
     さすがの五条も手相など知らない。この皺が彼女にどれだけの残り時間を告げているのか。横たえられて沈黙する彼女の姿が、この曲線のどこにどう表れているのか。当然分かりやしない。
     ただ、庵の来し方と行く末をたどる。爪の先で。指の腹で。何度も、何度も。
     ——ちょっと、なに。
     通りのよい庵の声が聞こえた気がした。
     五条は視線をぐるりと彼女の顔へ向ける。
     彼女の唇は薄く開かれたまま、動いてはいなかった。浮いたり沈んだりを繰り返す胸元に、ただ緩く呼吸を続けているのを見てとる。
     なんだ、と肩を落としたとき、指先が触れる手のひらが一度ぴくりと跳ねた。懲りずに視線を手元へ向ける。
     庵の手のひらがゆるゆると閉じて、五条の指先を包んでいくのを見守る。己の指を逃がすことはせず、素直に捕まってやった。
    「くすぐったかった?」
     文句があるなら起きなよ、寝坊助。
     五条より小さな手のひらの、弱々しい戒め。彼が少し指を動かせば途端にほころぶ。
     しかし五条は囚われ続けた。指先を包む体温が、どうにも惜しかったので。

    (22.04.04 00:27)
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💯👏👏👏👍💞👏❤👏❤🙌
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works