ブラッドが帰りが遅くなったジュニアをジュニフェイが同棲している家まで送る話(遅いな…)
フェイスはホットショコラを飲みつつ恋人かつ恋人であるジュニアの帰宅を待っていた。
今日は久しぶり二人でゆっくりできる日だからと家に帰ってからは心が落ち着かない。
ガチャリとドアの開いた音
「ただいま」愛しいひとの帰りにフェイスは喜ぶ。外気で冷えたであろうジュニアの体を抱きしめ、おかえりなさいのキスを贈る。
「おかえりなさいおチビちゃん、ずっと待ってたんだよ」
ハグと触れるだけのキス。好きな人が自分の帰りを今か今かと待っていたその事実がジュニアの胸を昂ぶらせる。いつもならここでただいまのキスをする。だからフェイスは目を閉じてジュニアからのキスを待っている。しかし、今日は……
(おまえのにいちゃんがいるんだよ!早く気づけクソDJ!)
「おチビちゃん、ただいまのキスは?」キスがないことに異変を感じたフェイスが目を開ける。すると顔を赤くしたジュニアの後ろにブラッドが気まずい表情で立っている。
「なんで……ブラッドが……?」
「車で送ってもらうことになったんだ!連絡入れたけどお前見てないだろ!」
「知らない!俺は部屋から出ないからおチビちゃんが相手しててね!」
気分を損ねたフェイスが部屋に向かう。ご機嫌取りのためにジュニアは追いかけようとするがブラッドによって足止めされる。
「貴様、いつからだ?」
「同居するとは聞いていたが……」
「そのような関係とは」
「キースとディノは知っているのか?」
よし、潰そう。ジュニアは決心した。絶賛混乱中である恋人の兄を落ち着けるためにテーブルに誘導する。
グラスにキースが置いていった酒を注ぐといい飲みっぷり。勤務での疲労が溜まっていたのか時間が経つとブラッドの頭が揺れ出した。
(コイツも酔いが回ると眠くなるタイプかよ……)
酔ったブラッドが語り出す。
「……昔のフェイスは帰宅した俺の元に真っ先に来て、おかえりなさいのキスをくれたんだ」
「なのに、いまやフェイスの大好きはすっかりお前のものになってしまった」
「鳶に油揚げをさらわれるという日本の諺を知っているがまさか自分がそうなるとは……」
分かりづらいがきっと恨みがましい表情をしているんだろう。ジュニアを一瞥したあと酒を煽り顔を伏せる。
「フェイスの『待ってた』もキスも全部俺のだったんだ……」
(ひとの兄弟関係を散々からかっておいて、どっちがブラコンだよ!!)
寝に入ったブラッドを放ってフェイスの部屋に行く。夜分に悪いがオスカーを呼びつけてブラッド回収してもらわないといけない。
「遅い……」
「おまえのアニキに質問攻めにあっていたんだよ」
「キースの酒で潰したからオスカーに連絡入れろ」