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    きゃら

    オベヴォにお熱
    お題箱→ https://odaibako.net/u/kyara_his

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    きゃら

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    1人で生活ができないヴォと彼の世話に嫌気がさして家を飛び出したオベのオベヴォ。

    #オベヴォ
    obevo.

    オベロンは数日ぶりの我が家の玄関の鍵を開けた。
    鉄の扉に響く解錠の音。重たい玄関を開けると、冷たい廊下が迎える。
    まるで無人のような静けさに、小さくため息をついて「ただいま」と少し大きな声をあげた。
    リビングへ続く扉を開けた瞬間、静かで冷たかった廊下の雰囲気は一変する。
    視界を埋め尽くすゴミ。食べかけの弁当の残骸があちこちに落ちており、吐瀉物がそのままのバケツまである部屋には耳を塞ぎたくなるような羽虫の音が聞こえる。
    その部屋の真ん中で蹲るようにして眠る青年にオベロンは声をかけた。
    「ヴォーティ、起きて」
    近くには薬の瓶が転がっている。睡眠導入剤だ。
    「ん、」
    「ヴォーティ…!ほら!!
    背後から羽交い締めにして身体を起こしても、自ら起きようとしない。
    「またお風呂に入ってないの?」
    「風呂は嫌だ。入りたくない」
    「だめだよ毎日入らないと。一緒に寝てあげないからね」
    「………」
    引きずるように風呂場に連れていくとさっさと服を脱がせていく。
    ゲロまみれの服はもう捨ててしまおう。こんなもの洗濯機の中にも入れたくない。
    「1人で入れるね?」
    裸にしたヴォーティガーンをそのままにしてオベロンは部屋の片付けに戻った。ベランダでバケツを洗い、ゴミは適当な袋に押し込んでまとめた。
    1週間程度の散らかり具合なら全てゴミ箱に捨ててしまえば解決する。
    床のゴミを片付け終わる頃、ガリガリと扉に爪を立てる音がした。小さな声で名前を呼ばれる。
    オベロンはため息をついて風呂場へ戻ると、ヴォーティガーンが蹲ったまま泣いていた。
    「ひとりにしないで。オベロン、ちゃんとするから、ひとりにしないで、おふろにはいるから、」
    「いるよ、ここに」
    「おねがい、ひとりにしないで」
    「わかったよ」
    「おべろん」
    オベロンは泣きつくヴォーティガーンを浴室に押し込んで、自分も入った。
    「シャワーかけるからね」
    暖かくなったのを確認して、ヴォーティガーンの頭からシャワーをかける。彼は大きく身体を揺らしたが、オベロンが声をかけている間はおとなしくしていた。
    何度もシャンプーをして、トリートメントをしたあと今度は身体を洗う。
    傷だらけの彼の身体は今でも直視できない。あらゆる傷が細い身体に刻まれているのだ。
    なるべく見ないようにオベロンはヴォーティガーンの身体を優しく洗う。何度も繰り返し洗うと、彼はそれだけで疲れたのか、オベロンの肩に頭を預けてうつらうつらとし始めた。
    「寝ないでよ」
    「ん……ごめ」
    柔らかいタオルで拭いた後、綺麗な服に着替えさせる。
    数分前の汚い姿はすっかり見違えた。
    寝ないで、と言ったものの眠そうな顔は相変わらずだったのでオベロンはベッドに案内してそこで寝かせることにした。
    虫の湧いた汚い部屋とは別のまっさらな綺麗な部屋。オベロンの部屋だ。
    「君の布団は洗濯中。僕のベッド使っていいから寝るならそこで」
    「………」
    ヴォーティガーンはフラフラと歩き出して、ベッドに倒れ込むとそのまま動かなくなった。
    オベロンは少し安心して部屋を出る。寝てくれなかったらどうしようかと思った。
    汚かった部屋を片付けて、ゴミは早くに収集場所に出してしまった。ただし汚かったのは本当にヴォーティガーンが過ごしていたであろう布団のまわりだけで、それ以外の部屋は使った痕跡もないくらいに綺麗だった。
    本当は毎日帰ってきたい。ヴォーティガーンには寂しい思いをさせている。けれど、ここには週末しか帰ってこれない。
    仕事が忙しいわけではない。彼の面倒を見ることができないのだ。
    朝から夜まで働いた後に、ヴォーティガーンの面倒は見れない。そう悟ってオベロンが別のアパートを契約したのは半年前だ。
    家に帰っても部屋の片付けから始まり、彼を風呂に入れて寝かしつける。数時間睡眠はザラだった。
    本当に疲れていた時、オベロンはついにヴォーティガーンに手をあげてしまった。
    「どうして1人でできないの」
    「頼むから言われる前にお風呂に入って」
    「吐くならトイレに行ってって何度言ったらわかるの?」
    今まで溜まっていたストレスが爆発したように彼への不満が口から飛び出した。
    吐きそうになった彼の髪を掴んでトイレに押し込んだ。真冬に冷水のままシャワーを浴びせた。
    「なんでできないの?」
    「どうしてやらないの?」
    無意識のうちに散々言っていたのかもしれない。
    ヴォーティガーンの「ごめんなさい」で目を覚ました。
    土下座をするように身体を丸めて謝る彼の姿に、オベロンは自分が吐き出した罵倒を思い出して顔を青くさせた。
    「ごめ、ちがう。ヴォーティ、ごめんね、違うの。君は頑張ってる、そんなこと思ってない」
    彼に謝罪をしながら「ああ、ダメだ」と悟った。
    これ以上一緒にいたら彼を傷つける。取り返しのつかなくなる前に離れようと、家を出た。
    最初の1週間は酷かった。
    彼もオベロンが帰ってこないことが不安になったのだろう。部屋中かき回して、嵐が通り過ぎたかのような惨状だった。
    週末の休みに帰ってきたオベロンに「どうして帰ってこないの。ひとりにしないで」と一晩中泣かれた。それでもオベロンは日曜日の夜に家を出た。
    「おふろにはいった。ひとりでごはんもたべた。おくすりものんだ。かえってきて。ひとりにしないで」
    次の週に彼はそう言ってきた。
    服は汚いし、乾涸びた料理がテーブルの上に置きっぱなしだ。
    彼の言う言葉はちゃんと最初の数日には実行していたのだろう。最初から嘘だとは思っていない。
    「そう、頑張ったね。じゃあお風呂に入ろうか」
    彼の肩を抱いて浴室に連れて行く。
    「まって、いや。お風呂入りたくない」
    「だめだよ。ちゃんと毎日入って」
    「や、やだ。こわい。やめて」
    今日は機嫌が良くない日のようだった。
    駄々をこねるヴォーティガーンを抱きしめて、オベロンは優しく声をかける。
    「大丈夫。僕も一緒に入るから」
    「やだ、やだやだ、やだ」
    「怖くないよ。大丈夫、大丈夫だよ」
    オベロンは引きずるように彼を浴室まで運び、無理やり風呂に入れた。怖いとオベロンにしがみついて離れなかったが、暴れることはしなかったのでまだ良かった。
    「偉いね、ご褒美にメロン食べようか」
    風呂から上がったヴォーティガーンの身体を拭きながらそう提案したが彼は首を横に振った。
    「いらない。いらないからいなくならないで」
    「日曜日まではちゃんといるよ」
    「ちゃんとおふろにはいるから。わがままも言わない。ひとりでちゃんとするから、まいにちかえってきてよ……」
    「じゃあ、約束だ。君が1人で何でもできるようになったら毎日帰ってきてあげる」
    我ながらなんて酷い約束をしただろうと思う。
    そんな日当分こないとオベロンには分かりきっていた。ヴォーティガーンが「ほんとう?」と泣き止む姿を見て無理やり笑う。「本当だよ」と答えた。
    ヴォーティガーンはオベロンが帰ってくる約束と条件を聞くたび翌日は頑張っているのだろう。けれども1週間持たない。自己嫌悪に陥り、薬を飲んで眠って過ごすうちに1週間経っている。それの繰り返しだ。
    オベロンの部屋で眠ったヴォーティガーンの姿を見届けて、オベロンは1人遅い夕飯を作る。
    ため息をつきながら食事をして、重い身体を引きずりながら入浴する。半分浴室で寝ながらなんとか上がって寝室に戻ると、ヴォーティガーンの姿がなかった。
    1時間前は寝ていたはずなのに。
    オベロンは頭を抱えた。
    正直気絶したいくらい眠い。今すぐ寝かせて欲しい。彼も子供でないのだから平気だろう。
    寝よう、と寝室の扉に手をかけた瞬間心臓を掴まれるような嫌な予感が襲う。
    ベランダを開けると今にも手すりに足をかけようとしているヴォーティガーンがいた。
    「なにしてるんだ!!」
    細い腕を掴んで引きずり下ろした。
    オベロンはヴォーティガーンを抱きしめる。
    心臓が口から飛び出しそうなくらい焦っている。
    あのまま寝ていたら、と想像してさらに強くヴォーティガーンを抱きしめた。
    「おべろん」
    言葉が出てこない。なんで声をかけたらいい。
    いま口を開いたら彼を責める言葉しか出てこない気がする。
    「おべろん……」
    うるさいな、なんだよ。
    心臓の鼓動が収まるのを待ってオベロンはヴォーティガーンをゆっくりと解放した。そうすると突然彼は声をあげて泣き始めた。
    「ヴォーティ?」
    驚くオベロンに、ヴォーティガーンは押し倒すようにオベロンにしがみつく。
    夜中のベランダなのを思い出して、オベロンは慌てて彼を泣き止ませようと名前を呼ぶ。
    「おちついて、ヴォーティ。ほら、さむいだろ、お家の中に入ろう?ね?」
    「おべろん、おべろん」
    「うん、わかった。ごめんね」
    身を捩って身体を起こすと、ヴォーティガーンの手を引いて家の中に戻る。
    どうやら腕を引いておろした時に足を捻ったらしいヴォーティガーンの左足首が包帯越しにも分かるほど腫れていた。
    けれど彼が泣いているのは足首の痛みではなさそうだった。
    床に座らせてオベロンはヴォーティガーンの左足の包帯を外して行く。
    足首は紫色になって腫れていた。
    「ごめん、痛かったね。湿布持ってくるから待ってて」
    「いらない」
    「でも、早く手当てしないと悪化する」
    「いらないからここにいて」
    ヴォーティガーンの言葉にオベロンは仕方なくその場に座り直した。そうすると、またヴォーティガーンはオベロンに抱きついてきた。
    「なんでできないの……」
    がんばってるのに。どうしてこんなこともできないの。なんで。どうして。
    小さな声にオベロンは胸が締め付けられる思いだった。そう約束したのは自分なのに。
    「なんでたすけたの?死なせてよ、1人で死ねるよ」
    「ふざけるな。それだけは許さない」
    「なんでだよ。そうしたら、おべろんも楽になるだろ」
    「そんなこと誰も頼んでない。僕が辛いなんて言ってないだろ」
    「言ってなくてもわかるよ!!お前の考えてることくらい、わかる。お前が俺を煩わしく思ってることも、目障りに感じてることも全部知ってるんだよ!!」
    俺たち双子なんだよ?とヴォーティガーンはこぼした。
    「どうして言われた通りにできないんだよ………」
    「……君は悪くないよ」
    悪いのは君をそうした両親だ。そして追い詰めた僕だ。
    「許さなくていい。恨んでもいい」
    オベロンはヴォーティガーンを押し倒した。
    「生きて。ひとりにしないで」
    オベロンはヴォーティガーンにキスをした。
    服を脱がせて性急に犯した。
    腰を揺らして泣きながら喘ぐ姿が可愛くて、オベロンも夢中になって腰を振った。
    「死んだら許さない」
    それだけを何度も何度も囁いた。
    身を捩って善がる彼の身体を抱きしめて、オベロンは「生きて」と繰り返した。
    「僕をひとりにしないで」
    怖かった。
    彼が死のうとしている姿を見て初めて彼が腕の中からいなくなると感じた。1週間離れて暮らしていても、感じなかった喪失感をあの一瞬で味わった。
    無理やり犯したことを恨みに思うのならいい。それで生きてくれるのならオベロンは彼にどんなことでもする。
    泣きながら自分を犯すオベロンの姿に、ヴォーティガーンは生まれて初めて必要とされたことに嬉しさで涙を流した。
    この身体にまだこんな使い道があったなんて。オベロンが必要としてくれる。それがたまらなく嬉しかった。
    それまで考えていた自己嫌悪と自殺願望は薄くなって行く。痛みと吐き気すら快感に変わる。
    こんなにも嬉しいのに、泣いているオベロンが不憫に思えてヴォーティガーンは思わず抱きしめた。
    「なかないで、もっと犯して。笑って。好きなようにめちゃくちゃにして」
    もうそれしか考えられないように、犯して欲しい。
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    きゃら

    DOODLE思ってたより長くなった続き
    「オベロンはほかのやつもそうやって優しくするのか」「しないよ。君だけ」「そんなに俺は弱々しく見えるのか?俺だってサーヴァントなんだし、さっきは血が出るのは嫌だと言ったけど別に後処理が面倒なだけで、痛いのが怖いとかじゃないからな!?」「そんなふうに考えてないよ」「好きな子に優しくするのは当たり前だろ」「わからないな」「なんでもしてあげたいんだよ。わかるだろ」「わかる」「僕は君に楽してもらいたいんだよ。苦しんだり我慢したりしてほしくないんだ。わかりましたか?」「それでオベロンになんのメリットがあるんだ」「メリットとかじゃないって」「だって俺はお前に、好きに、なってもらいたい、から…」「好きになってもらいたくてなんでもしてあげたいの?」「そうだよ。でも俺はお前が好きだし、別にお前が優しくしなくたってそれは変わらないよ。だったらお前は俺に優しくするだけ損じゃないか?お前が何か耐えてるならそれを俺だってなんとかしたいと思うに決まってる」「本当に我慢なんてしてないんだよ」「それは分かってるけど、でもさ…」「今まで君を抱いてきた奴は君のことなんか好きじゃなかったんだよ。好きな相手じゃなくてもこういうことができるのは君が1番知ってるだろ」「…」「僕は君が好きだから優しく抱くんだよ。君を気持ち良くするのに我慢なんてするわけないじゃないか」「………本当に?」「それとも実はヴォーティが激しいのが好きなのかな?」「そんなことない!それは無いから!」
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