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    きゃら

    オベヴォにお熱
    お題箱→ https://odaibako.net/u/kyara_his

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    きゃら

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    久しぶりの小説!リクエストもらっていた作為×おめかしです!今回はちゃんと2人ともあの服装です。
    遅くなりましたがありがとうございました!
    残りも頑張ります!

    「きみ、そんな格好も出来たんだね」
    紺色のベストに白のパンツとマント。さながら新郎のようにも見える。髪も珍しく纏めているかと思えば可愛らしいリボンで結ばれていた。
    意地悪く聞こえたオベロンの言葉にヴォーティガーンはツンとした態度でとりつく島もない。そんな態度が可愛くてオベロンは高いヒールを鳴らしながら大股で近づいていく。
    「かわいいね、と言ったんだよ。嬉しそうな顔くらいして見せてよ」
    髪をひとふさ指に絡めて耳元に顔を寄せた。
    「……」
    「可愛いはご不満だったかな?それはごめんよ」
    ぷい、と顔を背けたヴォーティガーンにオベロンは苦笑いをする。その耳が少しだけ赤くなっていたからだ。
    「でも本当、君は存外白が似合うね。お嫁さんみたい」
    ぴくりとマントに覆われた肩が跳ねた。
    本当に彼はわかりやすい。すぐに反応に表れるし、口から溢れてしまう。それが他人に直接伝わることはないけれど、オベロンはこの時ばかりはこの呪われた体質に感謝している。
    でなければこんなに可愛い彼を誰かが放っておくはずないのだから。
    「君は男の子だし、うん。そういった姿でも良いと思う」
    オベロンは徐に彼の足元に跪く。その仕草を察したヴォーティガーンはぎょっとして、戸惑った。
    オベロンの履いている金糸で刺繍を施されたパンツが床に付いている。きっと見たこともないほどのゼロがつく高いものに違いない。
    そういったものの価値はわからないけれど、こんなことをして良いものではないことくらいはわかる。
    だらりと垂らしていた左手を恭しく手に取ると、その冷たく固い甲にキスをする。
    絵に描いたような流れる所作にヴォーティガーンは思わずその顔を叩くように手を引いた。
    本当に叩くつもりはなかった。ただすぐにでも手を離して欲しくて少し乱暴に腕を引いたのだ。結果、オベロンの髪を乱した上に色白の肌に赤い傷を作ってしまった。
    血は出ていないものの、みみず腫れのようになっている。
    ヴォーティガーンは言葉を失い、左手を隠すように身体ごと彼から背けた。
    怯えた素ぶりの彼を安心させるようにオベロンは優しく甘い声で名前を呼んだ。
    「こんなのすぐに治るよ。3日もすれば痕だって残らない」
    「うるさい」
    慰めの言葉はいらないとヴォーティガーンは言った。
    歯を食いしばって震えながら深呼吸を繰り返す姿を見てさらにどう追い詰めろというのか。
    オベロンはヴォーティガーンの肩を抱いてそのまま抱きしめる。傷つけることを恐れた彼はもう抵抗はしなかった。
    「痛くないよ、平気だよ」
    「うるさい」
    「……ヴォーティ気にしないで」
    「うるさい」
    「自分を卑下するのはやめろと何度も言っているだろ」
    見透かしたような言葉にヴォーティガーンはハッとする。
    「そんなんじゃ、ない」
    そこまで自惚れていない。そんな言葉すら烏滸がましい。
    「こんな格好、しなければよかった」
    「…」
    「こんなの着たって俺は変わらない。それなのにお前が格好つけて…」
    「…そうだね、僕のせいでいいよ」
    「違う!そういうことを言いたかったんじゃなくて」
    激昂した彼がまた腕を振り上げようとした。だがオベロンの顔の傷を見てその手を軽く彼の肩に落とした。
    「…お前がそんな立派なものを着て、俺なんかに構うから勘違いするんだ」
    「何言ってるの、勘違いしてくれよ」
    「は?ぁ、」
    オベロンはヴォーティガーンを掻き抱きながら小さな口キスを求めた。
    「僕のせいにしていいから」
    「お前のせいになんて…ん、っ」
    口付けと吐息の音が大きくなると、彼から声は聞こえなくなる。
    「綺麗だよ、本当だ。めちゃめちゃにしてやりたくなる」
    「やめて…」
    服に指をかけながらそう凄むオベロンは本当にそのままボタンを引きちぎって服をめちゃめちゃにしそうだった。ヴォーティガーンが軽く肩を押して抵抗すると彼は、冗談だよ、と髪を纏めていたリボンを解いて髪を乱した。
    ヴォーティガーンに覆い被さるオベロンの顔は陰になっていてよく見えない。だが薄い色素の髪に差し込む光に反射した青い瞳は獣のようにギラギラとさせていた。
    香水の匂いとオベロンの匂い。
    知っている顔と知らない姿。
    知らない人工物の香りの中に彼を探して、ヴォーティガーンは腕を伸ばした。
    彼が本物ならばその腕に応えてくれる。
    ヴォーティガーンの願い通り、オベロンはその腕の中に捕まるように身を屈めた。
    ベルベッドのコートが少し手に痒い。
    「君のために仕立てたのだから、似合わないはずがないだろう」
    ヴォーティガーンはまだすこし自信がないようだった。
    「よく似合っているよ。本当に。僕の番にふさわしい」
    オベロンは再び彼の左手を取ってキスをした。そんな仕草ひとつで彼は救われたような顔をして涙を流すのだ。
    「似合うわけないじゃないか、お前のそんな格好を見て…隣にいるのが俺なんて、滑稽すぎる」
    「そんな事を言う奴がいたらカエルにでも変えてやろう」
    「ふふ、やりすぎだよ」
    オベロンがスカーフに手を伸ばしてきたのをヴォーティガーンは少し寂しそうな顔をした。オベロンはその微妙な表情の変化に手を止める。
    「どうしたの?」
    手を止めたオベロンにヴォーティガーンは尋ねる。その瞳が揺れていることに気付いていないのだろうか。
    彼は本当に嘘が下手だ。その性質を正しく理解できていない上に使いこなせていないのは度々見舞われるトラブルで把握している。だが本来は嘘そのものも得意ではないのかもしれない。
    「いや、きみが…嫌そうな顔をしたから」
    「そんな顔してないよ。するわけないだろ、俺のことなんて気にしなくていいよ」
    妙に早口になるところがさらに演技の下手くそさに磨きをかけている。
    そんなんだからマスターにまで悟られるのだ。
    「本当はこの服気に入ってるんじゃないの?」
    「!」
    「脱ぎたくないんだろ」
    「さっき自分で似合っていないと言ったのに?それはないよ。気にしなくていいから脱がすならさっさと」
    「やめやめ、そんなんなら服は脱がせない。しわくちゃにしてごめんよ」
    オベロンはひとつ息を吐いてヴォーティガーンの上から退いた。
    彼は驚いた様子で立ち上がるオベロンを見上げている。
    「気にしてないと言っただろう!?こんな服がなんだよ。俺が脱ぐから、それでいいんだろ」
    「いいって。今日はもう少し君のその姿が見ていたいの」
    「……たしかにいつもよりは身なりはいいけど…」
    む、と唇を尖らせる彼にオベロンは全く、と肩をすくめる。
    「似合ってると言っただろう。僕のつがいにぴったりだと。嬉しかったのならそれを素直に言えばいい。僕だって嬉しいよ」
    「そんな言葉で喜ぶなんて、子供っぽいじゃないか!恥ずかしい!」
    「君は嘘が下手なのだから、素直になった方が良いのかもしれないよ。下手なのに色々考えるからポカするんだ。適当に素直にしていれば自然と捻じ曲がる。でも僕らにはそれがない。君の素直な可愛い言葉は僕にはまっすぐ伝わる。いいだろ?これ」
    ヴォーティガーンの顔は綻ぶどころか不服そうに頬を膨らませている。
    「バカにしてるの?」
    「そうじゃない。君は可愛いね、という話だ」
    「おまえ、その服着てからなんか意地悪だ。雰囲気も違うし、やっぱりいつもの方が」
    「着ているもので人は変わるものだよ。でもそうか、少し意地悪なんだね。君を泣かせないように気をつけないと」
    「そういうところだぞ。やっぱり嫌いだ、その服」
    「おや、まあ、早速素直な言葉をありがとう。それじゃあ食堂でアフタヌーンティーでもどうかな」
    オベロンが恭しく手を差し伸べる。
    そっぽをむいていたヴォーティガーンだが、渋々ゆっくりとその手を取った。
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    Replies from the creator

    きゃら

    DOODLE思ってたより長くなった続き
    「オベロンはほかのやつもそうやって優しくするのか」「しないよ。君だけ」「そんなに俺は弱々しく見えるのか?俺だってサーヴァントなんだし、さっきは血が出るのは嫌だと言ったけど別に後処理が面倒なだけで、痛いのが怖いとかじゃないからな!?」「そんなふうに考えてないよ」「好きな子に優しくするのは当たり前だろ」「わからないな」「なんでもしてあげたいんだよ。わかるだろ」「わかる」「僕は君に楽してもらいたいんだよ。苦しんだり我慢したりしてほしくないんだ。わかりましたか?」「それでオベロンになんのメリットがあるんだ」「メリットとかじゃないって」「だって俺はお前に、好きに、なってもらいたい、から…」「好きになってもらいたくてなんでもしてあげたいの?」「そうだよ。でも俺はお前が好きだし、別にお前が優しくしなくたってそれは変わらないよ。だったらお前は俺に優しくするだけ損じゃないか?お前が何か耐えてるならそれを俺だってなんとかしたいと思うに決まってる」「本当に我慢なんてしてないんだよ」「それは分かってるけど、でもさ…」「今まで君を抱いてきた奴は君のことなんか好きじゃなかったんだよ。好きな相手じゃなくてもこういうことができるのは君が1番知ってるだろ」「…」「僕は君が好きだから優しく抱くんだよ。君を気持ち良くするのに我慢なんてするわけないじゃないか」「………本当に?」「それとも実はヴォーティが激しいのが好きなのかな?」「そんなことない!それは無いから!」
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