オリオンの名が泣くぜ ●
音界の王、ハヌマーン。
身軽で、敏捷に優れ、風と音に愛された者達。
ハヌマーンシンドロームは、その特性から音楽やダンスが得意な者が多い。侠太郎もその例に漏れず、歌と踊りが好きだった。
都内某所ビル、UGN管轄のスタジオ。
オーヴァードがジャーム化しない為には、日常への未練や絆が不可欠である。ゆえにUGN内ではエージェント同士の交流を推奨しており、このスタジオはここらのハヌマーンシンドロームの者を中心としたサークルの拠点であった。
「――――♪」
心地よい風が吹き、心臓を震わせるビートが鳴り響き、超人達は軽快に踊る、愉快に歌う。
命の謳歌、魂の讃歌、自由の宴。
侠太郎もその中に居る。歌と踊りの前では、年齢も種族も無意味である。笑って、声を弾ませ、歌って、踊り、躍る。
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