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    2021-11-15
    書き進めているうちに、詩とエッセイを足して2で割ったような文になりました。
    著作権法に抵触したら困るので念のため注釈を加えておくと、一部表現にamazarashi『ワードプロセッサー』の歌詞を引用しました。

    ##テキストデッサン

    多数決王国 薬局を出た。スマホのロック画面を確認する。十七時をまわったばかりか。よし、余裕で間に合うな。
    向かった先は、薬局の向かいに建つオフィスビル一階のチェーンの立ち飲み屋。十九時まではハッピーアワーで酒一杯とつまみ一品がワンコインで飲める。卒業してもスーツを着られない故に学生気分が抜けない、万年金欠酒クズ野郎のためのサービスといっても差し支えない熱烈歓迎ぶりだ。プログラムされたロボットの如く、迷うことなく店の敷居を跨ぐ。「一名様ですか?」を流すのもとうの昔に慣れた。飲食店でもテーマパークでも、二人以上でいることの方が稀だから。一度目は誰かと行った場所でも、二度目はないから。
     メニュー表のスクリーンショットは、頭の中のクラウドにお気に入り保存されている。一人客に四人掛けテーブルのソファ席を勧めてくれた店員に感謝しつつ、カウンターで注文しジントニックを受け取った。
     席に戻り、推しキャラ達の幸福に乾杯、と念じてから透明な頓服を一気に煽った。喉を熱く焦がす、炭酸の刺激と『キング・オブ・ドラッグ』様の思し召し。今日の肴は、いかにも百害あって一利なしといった油を染み出すフィッシュアンドチップスと、今回から増量されたコンサータ。の、効き目の妄想。今日は朝から体調が優れなかったためか、普段より回りが早い。グラスを八割空けた頃には地に足がついているのを確認する必要があった。
     こういう気分の時の方が、素面でいる時より言葉がたくさん浮かんでくる。押し殺している言葉たちが、裸の感性が陽の目を浴びようと声を上げる。ほんとうの自分を殺さないための相棒たちをテーブルに広げ、歌うなと言われた歌を、話すなと言われた言葉を撒き散らす。そいつらに酸素を与えてやる。ただ"世の中"の一部になりたかっただけなのに、居場所を求めても存在すら許されなかった者たちの存在を認めてやるのだ。それでも、期限付きの緩やかなトリップは、数時間後には我々をフィクションより残酷な"世の中"に吐き出す。その後の保証は一切無いまま。それでも、私は罪の無いそいつらの存在を残すため、悪魔の王様と契約を交わす。
     ああ、王様、私は貴方様なしでは生きていけない身体になってしまいました。どうか、どうか、いつまでも私の側にいてくださることはできないのでしょうか?叶うのなら、貴方様の都度の赦しが無くとも、私めの存在を認めてはくださらないのでしょうか?
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